スウェーデンとドイツに環境先進事例を視察に行ってきました

先週は、スウェーデンとドイツを中心に、環境先進事例の視察に行って来ました。避けて通れない環境問題に向き合い、西宮市の価値を高め、日本や世界の課題解決に貢献するために、積極的な取り組みがとても重要と考えているところですが、そのためにも世界的に注目されている取り組みに触れることでヒントを得たいと考えてのことです。

まずはスウェーデンのストックホルムに行き、ゴミの収集と分別に関する仕組みを視察に行きました。ストックホルム市から委託を受けたenvac社が運営するパイプラインによるゴミの分別集中収集システムと、ストックホルム郊外のEskilstunaにおいてoptibag社が担う、廃棄物の種別に色分けされた自動分別システムを見ましたが、共にとても興味深いものでした。

ゴミの収集、分別問題は現代社会のどこでも抱えている問題ですが、ここでは収集・分別のプロセスにIT技術を徹底的に活用し、省力化してリサイクルの推進とバイオガスの抽出を通じて、最終的な焼却処分量を減らそうとしています。スウェーデンはお隣のノルウェーのように豊富な資源に恵まれていないからこそ、資源を大切にする仕組みに積極的であるとの説明も興味深いものでした。

そのスウェーデンでの取り組みの一歩先を行ったシステムに出会ったのは、ドイツでした。フランクフルトから車で2時間ほど行ったRingsheim にある、Zweckverband Abfallbehandlung Kahlenberg (ZAK) と言う廃棄物処理公社(三セクのような組織)が運営する施設に行って来ました。ここで近隣2つのCounty (Ortenau, Emmendingen)のおよそ60万人分の廃棄物を処理しており、バイオガスを発生させるための有機物や、RDFなどの固形燃料、セメントに混合する材料等に分別するのですが、そのプロセスがほぼ自動化されています。徹底した分別することで、焼却処理をすることがないところまで突き詰めています。行ってみるまで、焼却処理が無しというのは信じがたいなと思っていたのですが、確かに彼ら自身がMaximum Yield Technology (MYT) と名付けた通り、燃やしておしまい、という既存のコンセプトとは根本的に違う、新しい処理体系を実際に見ることができ、とても感心しました。

これらシステムに共通しているのは、有機物からバイオガスを集められるだけ集め、リユースやリサイクルできるものは行い、燃やさざるを得ないものを極力減らす、ということです。IT技術等の導入により、収集や運営の手間を徹底的に省力化している点が印象的でした。環境問題の対処のみならず、人手不足の解消にも繋がるヒントを得ることができたように思います。

こうした先進的な取り組みに積極的なスウェーデンやドイツでは、多くの都市そのものが環境に配慮したまちづくりが行われています。ドイツでは、あちらこちらに風力発電施設がありますし、黒い森と言われるドイツ南部の森は、持続可能な林業の取り組みが注目されています。多くの都市では交通量削減のため、中心部にLRTを走らせ、更には車の出入りを制限しているところもあります。

その中でも、今回訪れたドイツのフライブルグは、環境首都と呼ばれる先端的なまちづくりで名高い市です。Vauban という地区は、都市づくりのコンセプトによってこれほどまでに人に優しいまちづくりになるものかと、感心させられました。特段、特殊な技術があるわけでもなく、要はその理念がしっかりと貫かれていてこそ、エコで住みよいまちになることを再認識できました。Freiburg Vauban Sustainable Community & Solar Village は、およそ36haの地域全体が持続可能な生活のショールームになっており、お店に並ぶ生鮮野菜も皆Organicであったりと、歩いているだけでも心地よいものでした。

こうしたまちづくりや環境政策を推進するためには、社会的なコンセンサスが必要となりますが、環境問題に理解ある世論を形成するために欠かせないのが、環境教育です。その中でも特徴的な、要は尖った施設が、ドイツ北西部のブレーメンにあり、そこにも行ってきました。そこは Klimahaus Bremerhaven という、環境学習、特に地球温暖化にフォーカスした施設で、ざっくりいうと、南極大陸から亜熱帯の土地まで、砂漠やトロピカルな海岸などを模したそれぞれの地域における、気候変動の影響などをリアルに再現、解説したエデュテイメント施設です。子供たちは、この施設で面白く興味深く世界と地球温暖化の問題を捉えることができるというもので、今や年間40万人から50万人の集客があるそうです。ここに全ドイツからの学生はもちろん、世界各地からの訪問者があり、Bremenの集客施設ともなっています。

神戸には、県の施設で「人と防災未来センター」がありますが、その地球温暖化バージョンといいえばわかりやすいかも知れません。実際の作り込みは「人と防災未来センター」よりも気合の入ったものではありましたが、要は次世代を担う子供たちに、地球温暖化という大問題のリアリティを感じさせようという、ドイツ人の気概を大いに感じました。

とても刺激になった視察でしたが、このどれかがそのまま西宮市の施策にあてはまるとは、全く思っておりません。それぞれの町には別々の文化や歴史、地理や国策、価値観等の背景があり、西宮市には西宮市のよいところもたくさんあります。そうした中で、十年、二十年、もしくはそれ以上先を見据えて、どんなまちづくり、環境政策を進めるか、技術力以上に、コンセプト、想像力と創造力こそが重要と感じさせられました。特に日本は、これから高齢化社会となり、人手不足の波がさらに襲ってきます。そうした認識のもとでの市政マネジメントに、とてもよい気づきを与えてくれる機会となりました。

(今回の訪問は、市役所業務としての公務でなく、政治活動の一環の政務で行って参りました。)