現在、西宮市が明け渡しを求めて裁判を提起中である、UR借り上げ復興住宅に関する件について、本日(6月13日)、対象者となる皆さんがお住まいの「シティハイツ西宮北口」を訪問させていただきました。
市長となっておよそ2ヶ月の間、これまでの市当局の対応を咀嚼し、様々なお声を私なりに整理し、6月7日には当事者の皆さんともお会いし、熟慮を重ねた上での私の考えを、次のようにお伝えしてまいりました。
・現在お住まいの「シティハイツ西宮北口」から徒歩数分の市営住宅を軸に、バリアフリーなどに対応した転居先を斡旋します。対象者の皆さんがご利用される病院等には、これまで同様に通えると考えられます。もちろん、ご希望があれば、そちら以外の市営住宅であっても、対応いたします。
・転居に際しては、対象者の体調等に配慮し、時期など、無理のない対応を行います。
・市の担当者について、ご希望があれば、これまで対応にあたった者ではなく、新たな担当者に対応してもらいます。
・現在、進行中の裁判については、双方の理解を得ながら、お互いが現実的に対応可能な形で、収束させたいと考えております。
・対象者の皆さんがお求めになれば、この先も、私は何度でも面会します。
この内容は、対象となる皆さんが言って来られた、「継続入居を前提とした和解」とは違う内容であることは、私も承知をしております。継続入居ができないものか、色々なケースを想定してみましたが、その判断をしてしまうと、すでに住み替えしていただいた方々や、他の借り上げ公営住宅入居者との公平性が保てず、行政として選択し得ないものと考えざるを得ないと判断しました。
私の一貫したスタンスは、阪神大震災に被災され、今なお困難に直面されている皆さんに寄り添うということです。と同時に、行政として守らねばならない公平性の原則は維持されねばならない、その上で、最大限に寄り添うにはどうしたらよいか、「寄り添う」ことは「継続入居を認めること」だけなのだろうか、と自問しました。
そして、「寄り添う」ことは、必ずしも継続入居を認めることだけではなく、現実的に可能な範囲で、対象となる皆さんの思いや現状にトップが向き合うということではないかと考えるに至りました。
そして、この4月になってバトンを受け継いだ私の今の立場で、考えられる限りの対策と思いを示すことと考え、今日のようなお話をさせていただきました。
対象となる皆さんにとっては、すぐにご理解いただけないかもしれません。また、市民の皆さんにも、様々な思いを抱かれる方もおられると思います。そうした声にも、しっかりと向き合って行きたいと思います。引き続き、西宮市政に対しまして、ご理解を賜りますよう、お願い申し上げ、ご報告と致します。
2018年6月13日
西宮市長 石井登志郎