ふるさと納税制度の適正な運用を求めます 中核市長会議2022 in 豊田

中核市長会議2022 in 豊田、西宮市として、ふるさと納税制度の適正な運用を強く国に求めるよう要望しました

昨日から今日にかけて、愛知県豊田市で開催された中核市長会議に参加して参りました。この会議は、規模や権限が同等の全国62中核市からなる会で、国への提言や要望を取りまとめるだけでなく、開催市の視察、さらには各市長との様々な意見交換ができる、とても意義ある機会です。

国に対する税制改正要望については、ふるさと納税制度の適正な運用を強く求めるよう、私から発言をしました。

ふるさと納税制度は、各自治体の創意工夫によって税収が得られ、市民にとっては在住市に払う税金分を他市に寄附することによって返礼品ももらえるということから、年を追うごとに全国的に利用が拡大しています。一方で、ふるさとを応援したいという主旨よりも、カタログショップ的な色彩が濃く、また一部自治体のルールを逸脱した運用もあることなどが課題と考えられています。そして西宮市など都市部の自治体はその多くが、受け入れる寄付額よりも流出額の方が大きく、大変な問題となっています。

西宮の現状は、令和3年の寄付受額が約1億6900万円に対し、令和3年度課税での流出額(控除額)が約20億円となっています。さらに翌令和4年度課税分控除額は26億9400万円と激増してしまっており、これは62中核市の中でワーストワンとなっています(寄付受額は62市中48位)。寄附額は昨年より3割以上伸びましたし、5年前の私の就任前は年間5000万円を超える程度でその頃と比べると3倍増!、と言えば頑張ってる感ないわけではないですが、流出額の伸びは文字通りケタ違いで伸びも寄附額以上となると、のれんに腕押ししているような気分になります。

尚、寄附額が全部そのまま市の収入になるわけではなく、また控除額の全部を市だけでかぶる訳ではありません。
寄附額の3割が返礼品代となり、それにサイト運営業社の手数料や発送料などもあわせ、全体の半分ほどが市に残る収入となります。また控除額については、4分の3が国の交付税措置をされます。概算ですが、令和3年にあてはめると、収入が約8500万円、流出が5億円、令和4年分の流出は6億7400万円に膨らみます。

国に対しては、ここまで普及したふるさと納税制度をなくしてください、とは中核市長会としては勝ち組もおりますので言えませんが、税が流出する控除額の補填分を全額国費で交付税措置をしてもらいたいということ、もしくは個々人の控除額の上限を設けてもらいたい、そしてルール違反の自治体には厳しく対応いただくなど適正な運用にしていただきたいと要望することで概ね一致したところです。

一緒に写真を撮ったのは山形市の佐藤市長ですが、中核市の中でふるさと納税制度のぶっちぎりの勝ち組が、山形市です。さくらんぼ、ラフランス、山形牛など素晴らしい産品があることに加え、この佐藤市長の手腕が山形市に大いに寄与しているようです。ちなみに山形市の令和3年度の寄附受額は約38億2000万円、流出(控除)額は約4億7000万円となります。私も負けてはいられないのですが、なんせ出が多いのは、大変なビハインドです。

ちなみに、基本的に流出する控除額の4分の3が交付税によって補填されますが、国の基準で一般的に裕福とされる不交付団体には、補填は全くありません。西宮市はこれに当てはまらないので良いのですが、今回の開催市である豊田市は不交付団体であり、流出をモロに被ってしまっております(令和4年度分の流出額は約13億3000万円)。不交付団体はまさに不幸な団体、と思いますが、この辺りも国は考えねばならないでしょう。

先ほど、国への要望として、控除額の上限を設けるべきではないか、と書きましたが、これはつまり、10,000円寄附をして、3000円分のさくらんぼが送られて来る、くらいの話ならば受け止めざるをえないのですが、人によってはケタ違いの、100万、1000万、または億越えの寄附をされる方もおられます。市で調べたところ、西宮市において、年収200~700万円の方の平均寄附額は3万円台ですが、年収1000万円以上の方は、平均寄附額が16万円を超えています。一部の方がケタ違いの寄附をされて平均を引き上げている面もあるでしょうが、総じて、高所得者がたくさんふるさと納税を活用されているようです。そう考えると、例えばふるさと納税の控除上限を3万円とか5万円としていただければ、少しは流出も抑制されますので、そうした点
も国で前向きに議論いただきたいと思います。

こうした寄附は返礼品目的だけではないケースもあるでしょうが、税が他市に流出していることには変わりありません。人がおいしい地方産品を求めたり、応援したい自治体に寄附をするのは結構なことですし全く自由でありますけども、その煽りが西宮市のような都市部自治体の財政に直撃する現状は、何とか勘弁してもらいたい気持ちです。

最後に、西宮市民の皆様にお願いです。地方の特産品などをお求めいただく際に、できましたらふるさと納税制度を使わず、直接、お買い求めいただくとありがたいです。市の税収が減りますと、市民サービスの充実が図れず、老朽化した施設の更新も滞ってしまいかねません。

西宮市外の皆さんへのお願いは、どこかにふるさと納税をお考えでしたら、ぜひ西宮市へよろしくお願いします! 日本酒はもちろん、アンリシャルパンティエのお菓子、伊藤ハムの詰め合わせ、県共通返礼品の神戸牛、キッザニア甲子園の入場券、JIBのバッグ、その他たくさんの返礼品もご用意しています。今後も、さらに充実を図っていきたいと思います!尚、返礼品いらないけど寄附するよ、というのもとてもありがたいです! 

かなり矛盾したお願いを書いていると自覚しておりますが、なりふり構っていられませんので、どうぞこの状況をご理解いただきたく、よろしくお願い申し上げます。

写真は、山形市の佐藤市長と全体会議のあとでパシャリ。豊田市では市立美術館や市役所本庁舎、中央図書館などを巡りました。ふるさと納税の制度面では不幸と書いてしまいましたが、豊田市は幸せいっぱいのまちづくりが行われていると感じました!

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