厳しい財政状況を未来に残さないために、より強化した取り組みを進めます

【財政構造改善を強力に進めます】

西宮市政における積年の最大課題の一つが、硬直化した財政構造です。本来西宮市は、中核市の中でもナンバーワンの個人市民税(市民一人当たり)があり、財政が厳しいというイメージをお持ちでない市民の方も多くいらっしゃるかもしれません。一方で、平成7年の阪神・淡路大震災以降、西宮市の財政は硬直した構造から脱することができず、財政の弾力性を示す経常収支比率は令和4年度決算では96.6%となり、この数年において中核市の中でも悪い方からおおむね10位以内(R4 11位、R3 6位、R2 8位、R1 6位)に入る状況となっています。

今年9月に発表した令和4年度の実質単年度収支は42億円の赤字となり、この先の推移を見込むと、しっかりとした手立てを講じなければ、遠くない将来に財政が行き詰まることも想定されるため、この度「財政構造改善基本方針」を発出し、強い取り組みを進めていくこととしました。

【これまでの市政改革に対する取り組み】

本市の財政構造に改善が必要だということは、5年前に就任して以降、議会からのご指摘や職員からの報告を通じて理解していましたので、急に湧き出た話ではありません。阪神・淡路大震災以降、西宮市においては累次にわたる行財政改革や行政経営改革が平成20年までを区切りとして実施され、それなりの成果を挙げたと理解しています。一方で、平成21年以降は庁内に向けた“改革”の旗はあげられていなかったため、私が就任して以降、改めて行政経営改革の旗を掲げることとし、財政の課題も念頭に置きつつ、職員の働き方改革の必要性も増す中で、地域力を高めることも含めた取り組みを行って参りました。

また市政運営に当たっては、西宮市のブランド力を高め、子育てや教育環境の充実に力を注いで参りましたが、中でも5年前は保育所の待機児童問題が深刻で、あらゆる手段を講じてでも待機児童を減らそうと努めて参りました。また、教育環境を改善するために、多くの学校を改築や大規模修繕し、学校トイレの洋式化を加速させ、議会からの要請もあり学校体育館に空調整備も進めて参りました。そうした中で、3年前には全世界がコロナ禍という未曽有の事態に直面し、本市の行政も多くのリソースをその対応に割く必要性に迫られました。国からも様々な交付金などが給付され、財政面でもある意味で異次元ともいえる3年間を過ごすこととなりました。正直に申し上げて、市役所内の改革に十分手を付けられる環境になかったといえる状況でありました。今年5月にコロナ対応も一区切りを迎え、市業務が正常化に向かう中で、改めて財政構造の改善に不退転の決意で臨むと判断し、方針を定めました。

【財政構造改善基本方針の方向性】

今回の方針を単なる「財政改善」ではなく、「財政構造改善」とした意味は、本市においては、支出に占める経常経費の割合が非常に高いことが一番の課題であり、このことを明らかにして対策を講じねばならないというところにあります。単に財政効果を捻出すればよいのではなく、構造的に高止まりしている経常経費を抑えなくてはならないわけです。

一方で、まちづくりに使うべき都市計画税については、特にここ数年は充当残額を基金に積み立てることが続いており、都市計画税が充当できる都市基盤整備については、魅力あるまちづくりを維持し発展させていく必要性からも、厳選して実施する所存です。しっかりとメリハリをつけ、早期に実質単年度収支の均衡を保つために、単年度で40億円以上の収支改善を目指します。現在の第5次総合計画中にこうした取り組みを進め、できるだけ早期に収支均衡が実現することを目標とします。

 具体的には、内部事務改革による経費削減、人件費の抑制、施設総量の縮減、施策・事務事業の見直しと再構築、経費削減のための外部委託の推進、機動的な人員配置を含む効率的組織体制の確保、外郭団体の見直し等を通じて、歳出の削減に取り組みます。また、一時的な財源対策として市有地及び公共施設跡地等を活用した財源創出、施設使用料等受益者負担の適正化、ふるさと納税の拡充、未収債権の回収取り組みの強化等を通じて、歳入の増を目指します。より具体的な実施内容については、今年度中に第一弾をお示ししたいと思います。

【さいごに】

財政の状況が厳しい現実をお伝えしなくてはならないのは、とても心苦しいです。そして、これからの取り組みが、市民の皆さんに何らかの影響がある可能性もあると思いますが、内容を詰めていくプロセスにおいては、議会や市民の皆さんのお声もお聞きしながら、影響が極力最小化されるように、特に未来を担う子どもたちについては、知恵を絞りながら状況の改善も目指しつつ、この難局を乗り切っていきたいと思います。大きなピンチではありますが、変わることを恐れず、このピンチをチャンスととらえ、頑張っていきたいと思います。

今後の厳しい市政運営に向き合うにあたり、私をはじめとした市の経営層としての姿勢を示すために、令和6年度から、市長、副市長はじめ特別職の給与削減を行う予定です。こちらの詳細につきましては、議会の皆さんにもお諮りしながら、市民の皆さんへもしかるべき時にご報告したいと思います。

西宮市は、「住みたいまちナンバーワン」と評価いただくように、充実した居住・教育環境を誇る市です。本年、文教住宅都市宣言から60年、平和非核都市宣言から40年、環境学習都市宣言から20年の節目を迎え、再来年には市制施行100周年を迎えることとなります。その折には、財政構造に関してもクリアーに未来を見通せるようにすべく、今後、全力で取り組みたいと思います。市民の皆様におかれましては、ご理解、ご指導ご鞭撻のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。

令和5年10月13日

西宮市長  石井登志郎

本日の定例会見において財政構造改善基本計画について説明いたしました

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