新しい西宮市では、社会のみんなで支え合い、学びあいます。学校の先生は、
一生懸命に授業をしてくれます。でも、先生だけではない。社会のあちこちで活躍する
すごい大人が、寄り集まって、子供たちを教え、育てます。図書館や生涯教育も
もっと充実して、いつからでも学べる、最良の環境がある、それがみんなで学ぶ、
新しい西宮市です。子どもたちだけでもありません。大人も、どうすればもっとまちが
元気になるか、おもしろくなるか、新しいアイデアをどんどん教えあい、勉強します。
「文教住宅都市」の宣言にふさわしい、最良の教育都市を目指します!
2.みんなと学ぶ
【子どもも大人も、学びを徹底的に支えます!】
予測不能な時代。自分で自分の幸せを決められる力が必要です。西宮の子どもたちと未来を支える、西宮流公教育をつくります。
そして、新しい西宮市では、図書館のパワーアップや西宮コミュニティ・カレッジ構想を通じて、子どもだけでない、大人の学びも応援します!
公立全校コミュニティ・スクール化
学校の先生の多忙化が指摘される中でも、学校へのニーズは多様化する一方です。学校現場や一部の市民だけに頼るには限界を迎えていると言えます。新しい西宮市では、この状況を改善するために、全国で拡がっている、地域と連携して学校運営を行う「コミュニティ・スクール」を目指すこととします。地域の関与を増やすとともに、現場に一定の権限を委譲し、学校現場の多様性や学校運営の機動性の向上を図ります。
【→コミュニティ・スクールとは 「親が知っておきたい教育の疑問31」より】
社会人経験者の教員養成支援
現在の教員は、50代以上が4割を超え、20代もどんどん増えています。その分、30代後半から40代の教師が少なく、真ん中がくびれた杵のような年齢構成となっています。また、教師はみんな熱心ではありますが、学校現場しか経験していないことも多いです。
新しい西宮市では、全国初の「社会人経験者の教員免許取得サポート」を検討します。具体的には、例えば7年以上など一定の社会人経験を持つ30歳以上の社会人が、大学の通信課程で教員免許を取得しようとする際に、その学費を無利子で貸与し、一定の年数以内に西宮市ないし兵庫県内で教壇に立つこととなれば、返済を免除するなどが考えられます。私自身も46歳になって教員免許を取得(見込み)です。教育実習を通じて実感したのが、社会人経験は教壇においてとても大きな力となった、ということです。新しい西宮市が進めるこの政策で、日本の教育に新しい風を吹かせるとともに、キャリア形成にも様々な道があるということを示す象徴的な事業にしたいと思います。
小中、中高「公立一貫校」設置の検討
全国にはたくさんの地域で、公立の小中、中高一貫教育が行われています。教育のニーズが多様化する中で、行政が従来の「6・3・3制」にこだわる必要はありません。東京都品川区などは、すべての区立校を小中一貫校とし、いわゆる〝中一ギャップ〟を制度的に薄めることにしています。また中高一貫校に関しては、全国におよそ80の公立中高一貫校があり、私学に負けるとも劣らない、独自の教育内容が高い評価を得ています。西宮でも一貫校の設置を目指し、質の高い公教育を提供します。
全学校区へ「子ども食堂」創設支援
すべての学校区に、子ども食堂を設置します。
子ども食堂には、子どもの居場所作り、大人との触れ合いの場づくり、という面があると考えています。現代は、共働きやひとり親家庭が増え、親が帰ってくる夜7時や8時まで、食事をとることができない子どもがとても増えています。また、親や教師以外の大人と触れ合う機会が少ないのも、現代の特徴です。
子ども食堂の役割は、そうした子どもの居場所としても、健やかな成長を応援する意味でも、とても大きくなっています。また、子ども食堂に出入りする大学生にとっては、子どもと触れ合う学びの場、社会貢献ができる場としても期待できます。大阪市では、大阪市立大学の学生がサポートに入り、子どもたちに勉強を教えるとともに、学生側は単位を認定される仕組みをスタートさせています。また、シニア人材の活用も期待されます。子ども食堂の場所については、例えば老人憩いの家の活用を検討するなど、既存施設での展開が考えられないかと思っています。
公立学校トイレの洋式化加速
西宮市の公立学校のトイレ洋式化率は、隣接するすべての自治体よりも低い38.3%でしかありません(尼崎52%、神戸45%、芦屋66%、伊丹80%、宝塚56%、県全体46%(2016年文部科学省調べ))。最近の家はほとんどが洋式トイレで、和式トイレに戸惑う子どももたくさんいると聞きます。また、災害時には避難所となる可能性がある公立学校に洋式トイレがないことで足腰の悪いお年寄りや障害のある方が用を足せないなど、東日本大震災の際には問題が表面化したこともありました。学校トイレの洋式化を進めるとともに、快適な学校環境の整備を進めていきます。併せて、マンホールトイレの設置などについて検討を進め、公立学校が災害時に安心できる拠点となるよう努めます。
図書館パワーアップ計画
42中核市の幸福度ランキングで、西宮市が全国1位なのは「学校教育」。「教育」という大きなくくりでは、実は13位まで後退します。理由は、「社会教育」が30位と苦戦しているから。生涯教育は、西宮市の課題のひとつです。図書館の改善は、社会教育の政策として有効で、市民ニーズも高いです。図書を借りやすくするために、駅前に貸し出しと返却に特化したカウンターをつくることから始めます。また、中央図書館など既存図書館を拡充するための施策を検討します。
西宮「コミュニティ・カレッジ」構想
子育てを終えた女性、引退したシニアなどの復職・転職を応援する、社会人教育(リカレント教育)の場を作ります。イメージとしては、職に繋がるビジネスのスキル(例えば、社会福祉士などの資格取得や、データ分析、プログラミング、デザインなど)を学べる場の提供を目指します。高い学費を払ってわざわざ大阪や神戸に出向かないと資格も取れず、スキルアップの機会もない現状を、新しい西宮市が市内大学等と連携し、市民の前向きな挑戦をサポートします。
【コミュニティ・カレッジとは?】
アメリカの公立二年生大学。「望めば誰でも大学教育を受けられる」ことを目標に、地域(コミュニティ)の住民向けの教育・職業訓練を行います。市民講座やカルチャースクールのような教養講座から最新のビジネススキルまで、幅広い内容を学べます。
質の高い幼児教育の実現
小さなお子さんに向けた施策で一番大切なのは、待機児童をゼロにすること。この実現を図るとともに、教育効果が高い幼稚園・保育園・こども園での幼児教育を充実させていくように、市として取り組みます。例えば、国の教育要領・保育指針などを踏まえ、幼稚園・保育所・認定こども園共通の、小学校教育への繋がりを重視した幼児教育の基準を定めることなどが考えられます。
国では、就学前教育無償化の議論が進み、そのこと自体は歓迎すべきことですが、お金の話だけでなく、教育内容の充実にも、エネルギーを注ぎたいという思いです。
【なぜ、就学前教育(幼児教育)なのか?】
アメリカのノーベル経済学賞受賞者が、就学前教育により、学習意欲・労働意欲・努力や忍耐といった能力が高まると主張しています。このことが多くの国で注目され、ここ10年、イギリス・アメリカ・フランスなどで就学前教育の政策が進みました。韓国でも、2013年から、3〜5歳児に対し、幼稚園・保育園で共通の教育が無償で行われています。日本では、来年度から、新たな幼稚園教育要領、保育所保育指針、認定こども園教育・保育要領が施行される予定となっており、例えば、兵庫県伊丹市では、幼児教育理念と育てたい子ども像についての市独自のビジョンを検討しています。西宮市の多くの幼稚園や保育園では、それぞれの理念に沿って立派な就学前教育が行われています。一方で、子どもを預かるだけで手いっぱいであったり、そもそも幼稚園も保育園も通っていない子どもには、就学前教育が施されていない可能性があります。国の政策で幼児教育無償化が大きなテーマになっていますが、お金の問題だけでなく、内容についても議論が必要です。西宮市では、その先鞭をつける気概で、就学前教育の基本プラン策定を目指します。
スポーツ環境の充実
甲子園球場があり、子どもがとても多い西宮の街。その割に、スポーツ環境が整っていないことを嘆く市民が多いのも事実です。実際、中核市の幸福度ランキングでは、西宮市の「体育・スポーツ施設数」は36位(全48市中)と、とても悪い指標です。まずは学校の校庭や既存の施設の運用見直しから着手し、可能なところから、スポーツ施設の新設なども挑戦したいと思います。また、グラウンドの芝生化にも着手し、思いっきり転べる環境で、子どもたちが走り回れる西宮市にしたいと思います。
「環境学習都市」潜在力アップ
西宮市が「環境学習都市」を宣言したのは2003年のこと。大阪や神戸に近い好立地の都会でありながら、豊かな海や山の自然があるのは西宮市の誇りでもあります。この自然を、次代に受け継いでいくために、市民と市役所がしっかり協力していく必要があります。より美しい海や川、豊かな自然環境を、教育の場として活用しながら、さらに魅力的なものとしていくための取組を積極的に進めます。
以前、六甲縦走を走破したとき、西宮市内にも拡大造林の影響で、植生の貧弱な手入れをされていない杉林があるのを目にしました。例えばこうした放置針葉樹林を、適切に間伐して広葉樹との混合林へとすることを目指し、西宮市内の学生と活動する、ということなどを考えています。
都市間交流の促進
国内外の姉妹都市との交流をもっと深め、市民同士の交流やグローバルな地域間交流を進めます。新しい姉妹都市提携も視野に入れ、積極的な自治体間交流を進めます。地方都市や海外とのパイプは、なかなか個人では作れないものです。ここに、自治体の役割があると思います。また、いずれかの都市と連携して、西宮市内の学校に通う学生が、インターネットのビデオ通話を通じて自由に英会話ができるような環境をつくるなど、新しい取り組みにも挑戦したいと思います。
郷土の歴史、災害の教訓を受け継ぐ教育
西宮市には、様々な歴史的な遺跡、神社仏閣、各地域で受け継がれてきた伝統が生きるまちです。また、酒蔵をはじめとした伝統的な産業も根付いた地域でもあります。そして、かつては大水害や第二次大戦での空襲、さらに1995年の阪神淡路大震災など、たくさんの災害や戦災にも見舞われた歴史を持つ市です。新しい西宮市においても、こうした郷土の歴史、様々な経験をしっかり受け継ぐ教育を進めていきます。
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