データとAIで「支える行政」へ ― 西宮市が進めてきたDXの取組

「DX」という言葉を聞くと、役所の効率化やIT化を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、私が西宮市で進めてきたDXは、それ自体が目的ではありません。目指しているのは、市民の皆さん一人ひとりを、より早く、より確かに支えられる行政へと、市役所のあり方そのものを進化させることです。

その代表的な取組が、データを活用した不登校対策です。子どもたちの心理状態を定期的に把握し、変化の兆しをデータとして「見える化」することで、不登校になってから対応するのではなく、その前段階で教員が声をかけ、支援につなげることを可能にしました。現場の感覚や経験を大切にしながらも、それをデータで支える。この取組が、国から統計データ活用の優良事例として表彰されたことは、大きな励みになりました。

もう一つ、力を入れているのがAI研究を活用した行政課題の解決です。西宮市は東京大学大学院と連携し、生成AIによる問い合わせ対応の支援や、画像認識技術を用いた屋外広告の実態把握など、具体的な行政課題に直結する研究を進めています。人手や属人的な知識に頼ってきた業務を、データと技術で支えることで、より公平で持続可能な行政運営につなげたいと考えています。

これらの取組に共通するのは、「問題が起きてから対応する行政」から、「起きる前に支える行政」への転換です。DXは派手に見せるためのものではありません。市民の暮らしを静かに、しかし確実に支える基盤です。これからも大学や専門家と連携しながら、人に寄り添うDXを、西宮市で着実に進めていきます。

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