本日、霞が関の厚生労働省神谷政幸政務官と面会し、かねてより国に対して何度も相談を重ねてまいりました「障害者自立支援給付における市町村の超過負担」について、直接要望書を提出してまいりました。
◆ 西宮市の福祉関係者が紡いできた、理想の歴史
私たちの西宮市は、他市に先駆けて、そして他市以上に、国が示す「障害福祉の理想の形」を地域で体現してきた自負があります。
身体障害のある方だけでなく知的障害や精神障害のある方に対しても、重度訪問介護の利用を広く認めている結果、多くの自治体に比べ知的障害や精神障害のある方の支給決定者数が多い状況であり支援の支給量も、必要に応じ24時間体制の介護を可能とする認定を行ってまいりました。これを実現するためには、福祉関係者の皆さまの長年の努力があり、法が求める理想の姿に一歩でも近づけようと現場で奮闘し続け、ヘルパーの確保・養成にも熱心に取り組んできた歴史があります。こうした環境が整うことによって、障害者の方々の尊厳と、ご家族の安心を積み上げてきたのが西宮の福祉です。
◆ 転入者が「全体の7割超」という驚くべき実態
しかし今、その先進的で充実した環境ゆえの新たな課題に直面しています。
他市の障害福祉サービスの供給量では生活を送ることが難しい障害のある方が、「西宮市なら安心して暮らせる」と、本市へ転入されて生活を始められるケースが近年急増しているのです。
実際、西宮市における重度訪問介護の利用者のうち、なんと「他市からの転入者」が全体の7割を超えています。 他の中核市では通常1~2割程度であることを考えると、いかに西宮市にニーズが集中しているかが分かります。
安心して暮らせるまちとして選ばれることは誇るべきことですが、現行の国の制度の歪みが、西宮市の財政に重くのしかかっています。
◆ 本来のルールが通用しない「国庫負担基準」の壁
障害者自立支援給付の財政負担は、本来であれば【国が2分の1、兵庫県が4分の1、西宮市が4分の1】をそれぞれ出し合うのが基本のルールです。
しかし国は、国が決めた上限額(国庫負担基準額)までしか「2分の1」を出しません。県も国に追随します。西宮市のように手厚い福祉を提供し、転入者が増えて実際のサービス費用がその上限を大きく超えてしまうと、超えた分の全額を西宮市が単独で負担(超過負担)させられる仕組みになっているのです。
◆ 数年で3倍に。耐えかねる超過負担の推移
今回、厚生労働省に提出した資料にも示している通り、西宮市における超過負担額の推移は深刻を極めています。
令和3年度: 約 5.2 億円
令和4年度: 約 9.3 億円
令和5年度: 約 11.8 億円
令和6年度: 約 13.7 億円
令和7年度: 約 15.2 億円
令和3年度には約5.2億円だった負担が、毎年2~3億円規模で膨れ上がり続け、直近の令和7年度にはついに3倍近くにあたる「15.2億円」にまで達してしまいました。
国が求める理想を実直に追い求め、先進的な福祉のまちをつくってきた自治体が、その努力のせいで15億円以上の国の負担を自治体が背負わされなければならない構造は、明らかに歪んでいます。
◆ 本日の要望内容(居住地特例の適用を!)
今回の要望では、これまでの訴えに加え、具体的な解決策も含めて以下の点を強く訴えてまいりました。
・実態、および自治体の先進的な取り組みを反映していない国庫負担基準の抜本的見直し
・福祉環境の充実ゆえに人口流入が生じる自治体への、構造を考慮した柔軟な財政支援
・特定の自治体に負担が集中するのを防ぐため、重度訪問介護への「居住地特例(※)」の適用を検討すること
(※施設入所などと同様に、他市から引っ越してこられた方の福祉費用を、前住地の自治体にも優分の負担を求めるなどして、特定の市へ負担が偏るのを防ぐ仕組みです)
政務官には、西宮市の歴史と誇り、そして「転入者7割超、負担額15.2億円という現実は、もう地方の努力だけでは支えきれない」という極めて切実な危機感を真っ直ぐにお伝えしました。
福祉の現場や自治体の財政を守ることは、巡り巡って、地域に暮らす障害当事者の皆さまやそのご家族の「安心」を守ることに繋がります。
国が掲げる理想を地方が実現した結果が、この15.2億円の市町村超過負担であってはなりません。これからも、誰もが尊厳を持って、望む地域で安心して暮らせる社会を目指し、粘り強く声を上げ続けるなど、持続可能な制度のあり方に向けて精力的に取り組んで参ります。
西宮市長 石井登志郎









