今週、市長の私から全職員に対して訓示を行いました。物理的な場所等の関係上、管理職のみを招集して行いましたが、対象は西宮市の全職員に対してです。
内容は、この一年の間に不祥事が頻発し、市政の信頼が著しく毀損していることに対し、全庁一丸となりこの危機的状況を認識して信頼回復に向けて取り組む必要性を訴え、市職員全体と、そうした心構えを共有するためのものでした。
この一年の間、官製談合防止法違反、窃盗罪、盗撮など逮捕された事案や、処分に至った事案が頻発し、まさに危機的な状況にあると言わざるを得ません。こうした不祥事は、そもそも、公務員としてだけでなく、人として、社会人としての姿勢が問われる、誠に深刻な事態です。市役所の仕事は、信頼が前提にあってこそできるものです。市民や事業者の皆さんから税金をいただき、管理監督する権限を持ち、時には指導もする立場にある。だからこそ公務員は、高い倫理観を備えるべきものであり、そうした仕事についているという、誇り、矜持があるべきはずです。しかし、今の西宮市は、立て続けに起きた不祥事によって信頼を失ってしまっています。この状況は、もはや個人の問題と片付けられるものではなく、組織として立て直しを図る、市民から信頼される西宮市役所を復活させる、これ以外に我々の進む道はありません。
今後、公共事業入札問題の再発防止の委員会や倫理向上に向けた取り組みなど、制度や仕組みの見直しを具体的に進めて参りますが、同時に大切なのは、職員の意識そのものです。市職員ひとりひとりが、危機的な現状を認識して共に再生の志を持たないことには、どうにもなりません。また、組織の風土も見直すべきではないか、とも思っています。不祥事を起こしてしまったことは許されることではありませんが、一人の職員が、そこに至るまでの間、もしももっと風通しよく何でも相談できる環境にあったならば、未然に防げた事案もあったかもしれません。市職員自らが、今後の対応を受け身になるのではなく、主体的に取り組む、そうした思いを共有してこそ、西宮市の信頼回復に繋がっていくと思います。
このような状況となっていることに、何よりも、市長として市民の皆様にお詫びを申し上げねばなりません。私にも責任は当然にあります。私を含めた特別職に関しては、こうした一連の事案への対策に一定の区切りがついた段階において、一定のけじめをつける所存です。そして、不祥事のない、信頼される西宮市役所へと再生させるという仕事を果たすことで、責任を果たしてまいりたいと思います。
最後に、市職員に対してこう訴えました。それは、初心を思い起こしてもらいたい、そんな思いからです。それぞれの職員が、なぜ市役所で働こうと思ったのか。その時のあなたは、市役所はどんな存在と映っていただろうか。社会のため、市民のため、公正で、公平な仕事を通じて、市民生活に貢献する、そんな思いを抱いていたのではないだろうか。
そしてもう一つ、こうも問いかけました。それは、それぞれ市職員がこれまで役所で仕事をしてきた中で、一番嬉しかったこと、やりがいを感じた出来事は何だったかを思い起こしてもらいたい、ということです。市民の方から窓口で、ありがとう!、と言われたことか、一つの仕事が無事に区切りを迎え、達成感を感じた時か、もしくは子どもの笑顔に接したときだろうか。そうした瞬間の市役所は、市民にとっては公正で、信頼される存在であると共に、市職員にとっても、市役所で仕事をすることへの誇り、矜持が存分に保たれたものではなかっただろうか。
私の訓示を通じて、市職員の意識に訴え、それぞれが理想とする素晴らしい市役所とは何かを思い起こして、その大前提として、不祥事は起こり得ない組織を作る、その上で、誇りある仕事を意欲的に進めていける職場づくりに取り組む、そうした組織に再生して参りたいと思います。
令和元年6月5日 西宮市長 石井登志郎