本日より西宮市議会三月定例会が開会、施政方針演説を行いました!
令和3年度西宮市施政方針
本日ここに、西宮市議会第11回定例会の開会にあたり、新年度予算案をはじめ諸議案の提案とともに、私の施政方針を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご支援を賜りたいと存じます。
はじめに
<新型コロナウイルス感染症対策>
昨年の今頃、この1年間が、ここまで新型コロナウイルス感染症の猛威にさらされることになろうとは、思いもしませんでした。未曽有の事態に見舞われたなかで、様々な対応、対策に追われた1年でもありました。
保健所設置市である本市は、積極的疫学調査をはじめ、入院調整や患者搬送などの感染者への対応や、電話医療相談、PCR検査の受検調整、健康観察の実施など、主体的な役割を担っているほか、独自のPCR検査センターの設置・運営などを西宮市医師会のご協力もいただきながら実施しております。また、国からの交付金も活用し、数次にわたり補正予算を組み、感染予防対策や経済支援策を進め、市民生活を支えるための対応に全力であたっています。こうした対策は、市民のご理解、ご協力が不可欠であり、市からの情報発信にも積極的に取り組んできたところです。一方で、こうした市からの情報発信については、改良を重ねてはおりますが、まだまだ工夫が必要であると考えております。
今後は、感染拡大の防止対策はもとより、雇用や経済活動、市民生活への支援や、新しい生活様式を踏まえた感染防止につながる取組などを引き続き実施していくとともに、ワクチン接種が滞りなく進み、一刻も早い収束へとつながるよう、全力で取り組んでまいります。
このようにコロナ対策に向き合いながらも、西宮市をさらに発展させていく、そうした思いを、年初に「守り、育む」と表しました。コロナ禍にあっても、市民を守り、子供たちを育み、進めていくべき施策の歩みは止めてはならないと思っています。
<シチズンシップの醸成>
まちづくりにとって不可欠なことは、地域住民の皆さんの地域をよくしていこうとするお気持ち、行動であり、本市では市民生活の様々な場面でそうした共助の取組が進められています。行政においては、今まで以上に様々な市民との協働が進むような機運の醸成、仕組み、仕掛けづくりが大切だと考えていますが、なかでもシチズンシップの醸成と発揮が、西宮の市政にはとても大切であると位置づけ、今後も施策を進めてまいります。
具体的には、まず、現在手掛けている教育大綱の改定において、子供たちには地域社会への関わりを意識してもらうことを、市民に対しては未来をも担う子供を育てることに参画する大切さ、地域に貢献する行動の大切さをうたうこととしています。
また、本年度から12校でスタートしたコミュニティ・スクールは、「地域とともにある学校づくり」に向け、目指すべき教育のビジョンを保護者や地域と共有し、目標の実現に向けて熟議し、協働する仕組みです。コロナ禍によって出端をくじかれたところは否めないものの、各校において子供たちと地域との積極的な関わり方を模索し、社会総がかりで子供を育もうとする取組を進めています。
生涯学習では、市民一人ひとりの学びを支援し、学びを通じた人のつながりが地域における様々な活動に生かされるよう、生涯学習推進計画を改定し、全庁的な推進体制の構築に取り組んでいます。これにより、子供から高齢者まで、すべての市民に活躍の場があり、コミュニティの一員として、安心して暮らすことのできる持続可能な地域づくりを目指しています。そのため、これまで教育委員会が所管してきた図書館、公民館、郷土資料館を市長事務部局へ移管し、防災や環境、福祉、子育て、コミュニティといった施策分野と連携し、幅広く活用されるよう組織体制を整備します。人それぞれの学びが、人とのつながりのなかで活かされ、地域社会に還元されるような、学びと活動が好循環する仕組みづくりを目指します。
こうした大きな理念的な部分のテコ入れを行い、既存施策と調整を図りながら、シチズンシップのさらなる醸成に向けて力を注いでまいります。
<行政経営改革>
本年から、行政経営改革の前期実行計画が始まり、「市民と共に新たな価値を生み出す市役所改革」を旗印に各般にわたる改革に着手しています。その行政経営改革に関しては、改革実行の3つの視点として「OPEN(市民に開かれた市役所へ)」「SMART(合理的で無駄のない市役所へ)」「RELIABLE(市民から信頼される市役所へ)」を掲げておりますが、その要ともいえる「OPEN」については、市役所が、職員だけで仕事をするのではなく、市民や企業、地域で活動する団体などとの連携を通じて、よりよいまちを共につくっていく、そのための仕組み、意識の変化を促すような「OPEN」を志向する改革を進めるとともに、既に述べたような、シチズンシップの醸成に向けた取組を引き続き進めてまいります。
次に「SMART」については、市としてデジタル・トランスフォーメーション、いわゆるDXを推進するため、「(仮称)西宮市DX推進指針」を策定し、市民サービスの向上、市の業務効率化、さらには地域の活性化に向けて、行政手続きのオンライン化をはじめ、市役所のICT化やデジタル化を、スピード感をもって進めます。これにより、ウイズコロナ・アフターコロナをはじめ、少子高齢化、人口減少などの社会変化に対応し、西宮市が市民のために一歩進んだ行政経営を持続していくため、DXにより新たな価値を生み出し、これまでにない行政運営の変革を目指す取組を進めてまいります。
また、業務プロセス分析を通じて庁内業務の効率化や業務の担い手を最適化するなど、市役所業務のスリム化、スマート化の実現を図ります。さらに、既存事業の棚卸しにより事務事業の抜本的な見直しを行うなど、事業の選択と集中による経営資源の適正配分と、データを活用し、事業の効果や成果に着目した行財政運営が行える庁内の仕組みづくりにも取り組んでまいります。
3つ目の「RELIABLE」に資する改革は、市民から信頼され、職員にとって働き甲斐のある市役所になるために、不可欠なことと認識しております。一昨年来、多発した職員の不祥事に対する再発防止につきましては、職員一人ひとりの意識向上を図る取組を行ってきたところですが、未だ根絶には至っておりません。今後も継続して再発防止の取組を進めてまいります。
また、職員の意欲・能力を発揮できる働きがいのある市役所づくりに向け、これまで以上に頑張った職員が報われ、モチベーションの維持・向上につなげるため、人事評価制度の適正な運用に向けた取組を進めるとともに、メリハリのある職務・職責に応じた職員給与体系への見直しに着手します。
さらに内部統制の導入に関しては、リスクへの対応による事務の適正な執行の確保と業務の効率性の向上を両輪で進めていきます。行政経営改革の取組との緊密な連携により、効果的な制度の構築を目指します。
続いて、新年度に実施する主要な事業・施策について、ご説明いたします。
1 子育て支援、教育
一つ目は、子育て支援と教育についてです。
コロナ禍の影響でさらに少子化が進むと懸念されているところです。子供を産み、育てやすい環境を整え、未来を担う子供の育ちを応援してまいります。
子育て支援の充実を図るため、乳幼児等医療費助成制度の所得制限を見直し、対象外となっている世帯の児童への医療費自己負担額の一部助成を、小学3年生まで拡大します。これにより、新たに約5,200人が対象となります。
産前産後の女性やその家庭へのケア、サポートに関しては、これまでに産後ケア事業や産婦健康診査の新設をはじめ、妊産婦の方に寄り添った事業を拡充してまいりました。さらに令和3年度から、多胎児妊婦への支援を新たに拡充し、より安心と感じられる産前産後のサポート体制を目指してまいります。また多岐にわたる事業について、必要な情報が必要な方に適切に届くよう、みやハグからLINEへの移行をはじめ情報発信の強化に努めてまいります。
本市における最重要課題の一つである保育所の待機児童対策においては、これまでも様々な手法で受入枠の拡大を図ってまいりましたが、令和3年4月には、国家戦略特区を活用して1歳から3歳児を保育する小規模保育事業を開始するとともに、その卒園後の児童の受入先を確保するため、令和4年度から一部の公立幼稚園で預かり保育の実施を予定しています。引続き保育の受入枠拡大に全庁を挙げてしっかりと取り組んでまいります。また、令和3年2月から保育士・保育所支援センターの運営を開始し、民間保育所等の保育士確保のための支援に努めてまいります。
令和元年度から実施している放課後キッズルーム事業では、現在、実施校を5校にまで拡充しています。児童の自主性を尊重した遊びや学びの場の提供に加え、留守家庭児童育成センターの補完的な役割を担うことも目指しており、一定の評価を得ています。一方で、平成27年度に開始したコーディネーターを配置する従来の直営方式との関係の整理や、留守家庭児童育成センターの待機児童解消に寄与するためにはもう一歩踏み込んだ検証が必要であると判断いたしました。今後は、留守家庭児童育成センターとの役割を整理しながら、子供の居場所づくり事業を、従来方式もしくは放課後キッズルームの導入という形で、数年をかけて全校で実施することを目指してまいります。
児童虐待の発生を防止し在宅支援の強化を図るため、令和4年度までに子ども家庭総合支援拠点を設置し、身近な場所で子供やその保護者に寄り添った支援を行ってまいります。また、適切な支援を継続していくために、警察や児童相談所をはじめ関係機関とのなお一層の連携強化を図ってまいります。
不登校児童生徒への対応については、3か所目となる「あすなろ学級かわらぎ」がオープンするほか、北部地域でも安定した居場所づくりを進めます。不登校対策は、市の取組だけではなく、地域コミュニティやフリースクール等の民間施設、NPOなどと積極的に連携することが求められているところです。今後も関係者との対話を積み重ねるなど、重層的な不登校対策を進めてまいります。
学校教育においては、コロナ禍を受けて「GIGAスクール構想」の実現が前倒しとなり、まもなく児童生徒一人につき1台のICT端末の配備を完了いたします。今後は、本年3月末に公表を予定している「GIGAスクール・スタートパッケージ」に基づき、個別最適化された教育の実現及び社会とつながる協働的な学びの実現に向けて取り組んでまいります。
学校施設については、教育が行われる施設としての役割に加え、災害時の防災機能や地域コミュニティの形成など、様々な重要な役割を担っている小中学校等を都市計画に位置づけ、計画的かつ継続的な施設の維持・保全に努めてまいります。
老朽化などの課題がある5校において校舎改築等による教育環境整備を行うとともに、学校施設長寿命化計画に基づく予防保全型の改修を進め、当分の間、同計画の改修対象とならないトイレの環境改善にも取り組みます。
教育大綱については、シチズンシップの醸成を盛り込むとともに、知・徳・体に集約される子供の育ちの基本や、市全体で取り組む教育の方向性を示すなど内容に厚みを加え、西宮の教育・子供施策の礎として確かなメッセージとなるよう改定をします。その上で、教育現場はもちろん、市民にこの大綱を広め、理念の共有を図り、社会全体で子供たちを温かく育む西宮市を目指してまいります。
また、幼稚園・保育所・認定こども園などが、それぞれの個性を持ちながらも西宮の子供たちを育む共通理念となる「(仮称)幼児教育・保育ビジョン」を令和3年度中に策定いたします。
2 福祉、健康、共生
二つ目は、福祉、健康、共生についてです。
「人生100年時代」と言われるなかで、健康づくりはそれぞれの個人にとってだけでなく、コミュニティや市にとっても非常に大切なことです。特に高齢の方々の介護予防や健康寿命の延伸を目的として、まちを楽しみながら歩くことにより自然に健康行動が習慣化するよう、新たに健康ポイント事業をスタートさせます。また、お出かけ時やウォーキング中に腰かけていただく休憩場所として、「どうぞベンチ」を令和3年度には約50か所の設置を進めてまいります。
長年多くの方にご利用いただいてきた高齢者交通助成制度については、誠に残念ながら、鉄道会社のご協力が得られないこととなり、現行の仕組みでの助成はできなくなってしまいましたが、新たに高齢者を対象としたバス運賃助成制度を設けることによって、お出かけのサポートをして健康づくりに繋げていただきたいと考えております。
市立中央病院と県立西宮病院との統合については、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、統合再編新病院の感染症対応機能強化を図るため、統合再編基本計画を改定しました。引き続き、令和7年度中の開院を目指して、基本設計・実施設計を進めます。また、閉院後の中央病院跡地活用については、民間医療機関の誘致を中心に検討を進め、跡地活用計画の策定を目指します。また統合までの間、新型コロナウイルス感染症の対応のみならず、引き続き地域医療支援病院として、市民の命と健康を守る役割を果たしてまいります。
誰にとっても住みやすいまち、居心地の良い西宮市を作っていきたい、そうした思いのなかで、住みにくさ、生きにくさを感じている方々が性別にとらわれない多様な生き方を実現できるように、「西宮市性の多様性に関する取組の方針」を策定し、パートナーシップ宣誓証明制度を導入します。
3 都市基盤、安全・安心
三つ目は、都市基盤と安全・安心についてです。
いよいよ、4月には本市の危機管理の拠点となる第二庁舎(危機管理センター)が竣工します。
近年、全国各地で大きな災害が多発し、また南海トラフ地震が発生する可能性も高まっています。大災害に対しても、関係部局が各々の役割を着実に果たし、部局間で適切な連携が図られるよう、新たな防災情報システムを駆使しながら、実践を意識したシミュレーションや訓練に継続的に取り組み、市民生活を守る防災体制の構築を促進してまいります。あわせて、防災の要となる地域防災力の向上を図る事業にも積極的に取り組み、市全体の防災力の強化を推進してまいります。
消防体制の強化については、消防本部を第二庁舎(危機管理センター)に移転するとともに、新たな消防緊急情報システムの運用を開始します。また、現在建築工事中の基幹消防署である西宮消防署は、令和3年度末の運用開始を目指し、整備を進めてまいります。
水道事業では、今後も給水人口の減少や節水機器の普及などにより収益が減少していくことが見込まれることから、人件費をはじめとする経費の削減をさらに進めるとともに、施設の長寿命化や老朽管路の更新を重要度に応じて計画的に行うことで費用の縮減や平準化を図りつつ、近隣水道事業体との広域化・共同化の研究を進めるなど、必要な施策を推進してまいります。
下水道事業では、多発する局地的な豪雨等に対応するため、国が進める国土強靭化の方針に沿って治水安全度を向上させるための雨水浸水対策事業を進めています。
コロナ禍によるライフスタイルの変化の一つとして挙げられるのが、自転車活用の推進です。昨年7月に策定しました「西宮市自転車利用環境改善計画」を踏まえ、主要な自転車通行路線にピクトマークなどの明示を行い、安全な自転車通行環境に繋げる取組を行っています。引き続きこうしたハード対策に加え、交通安全啓発活動などのソフト対策により安全意識の向上を図ってまいります。
4 環境政策
四つ目は、住環境などを含む環境政策についてです。
文教住宅都市を宣言し、住宅地として高い評価を受けている本市にとって、住環境の充実、自然環境の保全は重要課題です。都市部にありながらも、甲山をはじめ六甲山系の豊かな山々は、市民にとって潤いをもたらし、本市にとって大きな財産です。この森林を適切に管理し整備していくために、森林環境譲与税を活用していくこととし、まずは里山林の保全に必要な森林調査等に着手します。
指定後30年を迎える生産緑地の所有者等に対して、買取り申出が可能となる期日を10年延長できる特定生産緑地の指定の周知を図るとともに、緑やオープンスペース等の機能を有する公共施設用地として活用するための仕組みづくりについて検討し、都市部に欠かせない緑地空間の保全に努めてまいります。
本市に住み、学び、働くすべての人々が環境学習を軸とした持続可能なまちづくりを進めることをうたった環境学習都市宣言の精神を承継し、さらに発展させていくため、二つの表明を行い、具体的な行動へとつなげてまいります。
一つ目は、地球温暖化対策として、2050年までにCO2排出量を実質ゼロにすることを目指します。「平均気温上昇を産業革命以前に比べ1.5℃に抑える努力をする」というパリ協定の目標達成のためには、国や県の取組にあわせて、本市もできる限りの努力をしなければなりません。このため、「西宮市地球温暖化対策実行計画」において中期的な目標を設定するほか、具体的な施策としては、ごみ焼却施設で得られるカーボンフリーな電力の公共施設への供給のモデル実施や、市施設のLED化に向けたロードマップの策定などに取り組みます。また、各家庭での省エネ行動などを促進する補助事業や啓発活動を積極的に実施してまいります。
二つ目は、資源循環型社会の構築を目指した「プラスチックごみ削減運動の推進」です。地球規模で海洋プラスチック問題が深刻化しており、御前浜や甲子園浜などがプラスチックごみにさらされているという現実に直面しています。プラスチックごみ削減に向けて、市民、事業者そして行政が取り組むべき方針を策定し、周知を図るほか、市役所においても率先した取組を実行してまいります。また、マイボトルの使用などライフスタイルの転換を促進するため、まずは市の施設に給水スポットを整備いたします。
ごみ処理に関しては、さらなるごみの減量と分別排出の徹底を促進するため、ごみ排出時の指定袋制度の導入に向けた取組を進めます。また、東部総合処理センター内での新たな破砕選別施設の整備にあわせ、ごみの分別区分の見直しを進めます。
一方、焼却施設については、芦屋市とごみ処理広域化の可能性について協議を続けてきましたが、広域化に対する基本認識の違いを埋めることができませんでした。今後は、一層の環境負荷の低減が図れ、効率的・効果的な整備や運営が行えるように検討してまいります。
アスベスト飛散防止対策では、解体等工事現場への立入検査体制の拡充や携帯型の検査機器の導入、吹き付けアスベスト除去等の補助事業の拡充などに取り組みます。
5 都市の魅力、産業
五つ目は、都市の魅力、産業についてです。
コロナ禍に見舞われ、さくら祭も、市民祭りも、春夏の高校野球の大会も、さらには新年の西宮神社の福男選びもない1年が過ぎてしまいました。地域での運動会、文化祭、音楽祭などの行事も限られ、とても残念な思いがいたしました。私にとってこうした経験は、地域のつながりや、心に潤いをもたらす文化芸術など、ソフト面の大切さを再認識することとなりました。引き続き感染症対策に取り組みながら、ウイズコロナに対応した芸術文化、スポーツの振興や本市の魅力発信に向けて取り組んでまいります。
生涯学習部門の市長事務部局への移管については既に述べた通りですが、地域の資源である公民館・図書館などの生涯学習関連施設をもっと多世代の方々に活用していただいて、地域づくりの拠点となるよう、行政、地域団体、NPO、企業、学生などの皆さんが、よりよい地域社会に向けて、学び、行動するきっかけとなる場づくりを進めてまいります。
また、こうしたシチズンシップの醸成の機運を、大学のまちでもある本市ならではの取組にもつなげていきたいと思います。今般、大学交流センターが開館20周年を迎えますが、これを契機に、「大学のまち・西宮」がさらに発展していくため、地域社会との連携強化や学習機会の提供による人材の育成、学生のキャリアデザインの支援など、センター機能の拡充に努めてまいります。
地域経済に活力と雇用をもたらすため、西宮商工会議所と連携して「起業家支援センター」を整備し、起業ニーズに応じた支援や情報提供、多様な事業者間の交流を促進するなど、新たな産業の担い手を創出する拠点づくりを行います。
また、市内事業者の育成と市内経済の活性化に向けて、アンケートなどにより事業者の声を聴く機会を設けるほか、庁内各部局に事業者の情報の周知を図るなど、市内事業者の受注機会の確保に努めてまいります。
6 政策推進
最後に、政策推進についてです。
限られた行政資源を効率的に活用していくために、政策推進の柱となるのは、すでに述べたシチズンシップの醸成であり、行政経営改革の推進です。今般、職員の広報広聴マインドの醸成のために策定した「西宮市広報広聴ガイドライン」は、行政経営改革の大切な取組の一つですが、三つの基本方針として、行政情報のわかりやすさ、市民の声をまちづくりや市政に反映、市民と市役所の協働、を掲げています。全職員が広報を自分事ととらえ、市民にわかりやすく情報を発信するとともに、市民の声を積極的に市政に取り入れ、市民と共によりよいまちをつくっていく、こうした考えに立っています。市民の声に寄せられるご意見は私が就任する前と比較すれば2倍と大幅に増えており、こうした市民の声に対する市からの回答も含めて、共有すべき財産と考えているところです。「誰かの疑問は、他の誰かの疑問」との認識に立ち、いただいたお声とその回答について、カテゴリーごとに整理をして公開することといたします。また、市が進める施策について市民に直接ご意見をお聴きし、事業の改善につなげる取組も進めてまいります。こうした取組を進めていくことで市民に市政を身近に感じてもらい、市民と市役所の協働へつなげていくことを目指してまいります。
住民自治を進めていくための要は、地域住民の自治会活動をはじめとした地域団体での活動です。コロナ禍において、これまで通りの活動が十分にできなかった団体が多いなか、ホームページの開設など新たな取組を進める団体の活動に感銘を受けました。こうした事例も参考にしながら、ウイズコロナに対応する地域団体の新たな取組への支援を検討してまいります。
公共施設マネジメントでは、事業費の平準化やトータルコストの縮減を図るため、現在策定作業中の建築系公共施設の個別施設計画を取りまとめ、施設の特性に応じた効率的で効果的な公共施設マネジメントの推進に向け、引き続き取組を進めてまいります。
コロナ禍による市財政への影響は、現時点でどれだけの規模になるかは確定できないものの、相当なインパクトになるのではないかと予測しております。現時点で、リーマンショックが襲った平成21年頃の状況を上回るのではないかと考えられます。新年度当初予算においては、市税で対前年度26億円、率にして3%の減を見込んでおり、一定程度の国からの支援を見込んだとしても、第5次西宮市総合計画策定時に計画した事業を進められるだけの財源を確保できるか、まだ見通すことはできません。そうしたなか、昨年6月には、今後の財政負担が大きくなる事業に対しては令和2年度の執行について立ち止まるという判断をいたしました。また、その際には、令和3年度に財政収支の見通しを示した上で、個々の事業の執行について判断するとご説明したところです。
こうした大変厳しい財政状況のなかでも、コロナ対応はもちろんのこと、教育、子育て、福祉など、日々の地域社会を支えるために、市は必要な役割を果たしていかなければなりません。既に行政経営改革に着手しており、これを堅実に前進させ「市民と共に新たな価値を生み出す市役所」へと改革していくとともに、それだけにとらわれず、今後明らかになる市の財政収支の見通しを踏まえ、必要な対策をとってまいります。
世界的なパンデミックとなり、今もその渦中にある新型コロナウイルス感染症の大流行は、これまでの社会のあり方を根本的に変えるような決定的な転換点として歴史に記録されることでしょう。大変厳しい逆境のなかではありますが、私たちはそれでも今を生き、未来に向かって力強く歩んでいかねばなりません。そのために私たちに今、求められているのは、過去の価値観に拘泥するのではなく、しなやかに新しい生き方、新しい社会を築いていくことであると思います。
市政においても、過去の積み上げや前例にこだわらずに、市民にとって必要な施策を効率的・効果的に実行していくための不断の改革を行いながら、堅実な運営をしてまいります。
この春で就任から丸3年を迎えますが、令和3年度は、いま与えられている私の任期にとって大切な最後の1年でもあります。住みたい街ランキング等でも評価をいただく本市ですが、市制100周年を迎える令和7年、そしてその先においても、より良好な文教住宅都市として評価されるよう、未来につながる1年にしたいと考えています。
予 算
次に、令和3年度予算について概要をご説明いたします。
歳出では、新型コロナウイルス感染症への対応に係る予算や、子育て支援などの社会保障関係経費に係る予算などが増となりました。
一方、歳入においては、根幹となる市税収入について、新型コロナウイルス感染症の影響による減収を見込んでいますが、臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税については増となっております。また、市債の活用も積極的に進めていますが、喫緊の行政課題への対応に必要な財源の確保が難しいため、不足する額につきましては、財政・減債基金から繰り入れることとしました。
このように編成いたしました新年度予算は、
一般会計 1,938億5,620万4千円 前年度比 0.4%増
特別会計 908億8,514万2千円 前年度比 2.5%増
企業会計 476億8,922万 円 前年度比 0.6%増
合 計 3,324億3,056万6千円 前年度比 1.0%増
となっています。
以上、新年度の市政に臨む私の決意と施策の大要を申し上げました。
議員各位並びに市民の皆様のご支援をお願い申し上げますとともに、予算案をはじめとする諸議案にご賛同賜りますようお願いいたします。