今年発表された第171回芥川龍之介賞を見事受賞された、市内在住の松永K三蔵さんに、11月19日に、西宮市文化芸術特別賞を贈呈させていただきました。松永さんは幼少期より西宮にお住まいで、今もお仕事の傍ら執筆活動にも従事され、この度「バリ山行」という作品で受賞されました。私もこの発表直後に本屋さんに行き、読ませていただきましたが、とても読みやすく引き込まれる内容で、さらに嬉しいことに西宮や近隣の地名がふんだんに出てきて、地元民としては本当に光栄な作品でありました。
贈呈式の際に、松永さんと懇談させていただき、いくつか質問もさせていただきました。作家を目指す宮っ子にアドバイスはありますかと聞いたところ、流行りやトレンドを追うのでなく、自分ならではの視点、書き方を貫くことを意識すること、と答えていただきました。これは子どもたちだけでなく、すべての人の生き方にもつながる話なのかなと思いました。そして、西宮市の街が、文学作品を生み出すことに貢献できていますかと聞いたところ、「それは大きかった」とお答えいただきました。海もある、山もある、ほどよく都会である、整然としている、こうしたことからふと作品につながるアイデアが出てくるそうで、まちづくりを担う立場として、とても光栄に思ったところです。
西宮市在住の作家さんでは、2022年にも井戸川射子さんが芥川賞を受賞されました。これほど立て続けに芥川賞受賞作家が誕生する、という市もそうはないのではないでしょうか。また、世界的な作家である村上春樹さんは香櫨園小学校出身であることをはじめ、西宮と文学のかかわりは、とても深いものがあると考えています。その背景には、西宮というまちが寄与しているというのであれば、こんなに素晴らしいことはありません。今後も、すばらしい作品を育んでいくようなまちづくりに向け、市民の皆さんとも意見を交わしながら、前に進めていきたいと思います。
市長コラム 令和6年(2024年)11月 文学をはぐくむまち、西宮!
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