市長コラム 令和元年(2019年)8月 夏休みに考えたい 子供たちとインターネットの関係について

子供たちが、待ちに待った夏休みがやってきました。夏祭りでの子供たちののびのびした姿に触れると、私も小学生や中学生の頃はああだったなぁ、と思う一方で、私の頃と明らかに違うのが、今の子供たちは、その多くが携帯電話を持っているということです。情報機器という新たなツールによって広がる世界の魅力がある一方、ネット社会ならではのリスクにも向き合っていかねばならない、そんな時代でもあります。

インターネット利用率もここ数年で劇的に上昇しています。内閣府の調査によると、平成26年に小学生の利用率が53%であったのが平成30年には85.6%に、中学生は79.4%だったのが95.1%にまで上昇しています。もはや、インターネットを有害なものと遠ざけさせることは非現実的であり、いかに安全・安心に使うかをみんなで考え、共有する大切さが重要と認識を強めていかねばなりません。

西宮市においては、ネット時代特有の課題への対応が必要との認識に立ち、様々な施策を講じておりますが、7月11日に西宮市青少年育成推進本部の主催で、「子どもたちの安全・安心なネット利用を考える」講演会を開催しました。スマートフォンの劇的な普及やSNSの発達によって、間違いなく便利な世の中となっていますが、その影の部分についての懸念も広がっています。

講師は、私も旧知のヤフージャパン株式会社政策企画部マネージャーの佐川英美さん。スライド100枚近くに及ぶ実に重厚で分かりやすいお話を聞かせていただきました。そもそものインターネットの特性(発信の自由が尊重される一方、見る側が情報の真偽を判断しなくてはいけないこと、情報の拡散性等)やインターネットに潜むリスクと保護者から見た懸念(依存症、詐欺被害、不適切情報の利用は保護者が気付きやすい問題であるが、悪意のある大人の誘い出しや、不適切な書き込み、いじめなどは保護者から見えにくい、等)を丁寧に説明いただきました。その上で、保護者として心掛けること、期待される役割についての言及がありました。

コンテンツの選び方や、家庭でルールを作っていくことの大切さとともに、それらは子供の成長過程によってより段階を踏んでいくことがよい、ということでした。これは印象的で、例えるならば自転車の乗り方の習得のようなもので、自転車に乗るのも、最初はコマつきから始まり、年齢ごとに大きな自転車になっていきますね。そのように、インターネット機器の選び方から使うコンテンツの選択にもよりそう、特にリアルなコミュニケーションが重要と、とても示唆に富んだ話でした。

こうした内容は、講演だけに終わらせるのはもったいないです。市としては今後、当日の講演から得られたポイントをまとめ、ホームページなどの媒体を通じて、市民の皆さんに広く情報発信をしていくコンテンツとして整理して参ります。

また、7月の青少年問題フォーラムに先立ち、4月に開催した総合教育会議において、学校への携帯電話の持ち込みを議題とし、議論をいたしました。これまでは2009年の文部科学省通知では、携帯電話の学校への持ち込みは原則禁止としていたものを、見直していく動きが出始めていることを受けてのことでした。西宮市の学校においては、持ち込み禁止を原則としているのですが、その原則を見直す是非について議論をしました。

結果は、現段階においては、携帯の持ち込み原則禁止という方針は変えない、ということで議論は集約することとなりました。
(詳しい議論については市のホームページから総合教育会議の議事録等をご覧ください)

こちらにおいても、情報リテラシーを高めていくこと、その重要性が改めて浮き彫りになったといえます。今後、技術革新はさらに進んでいくでしょうから、益々、市民に向けた情報リテラシーを高めていくための啓発、機会の提供、教育の必要性は高まっていくことと思います。市としても、心して政策遂行にあたりたいと思います。

夏休みの間に、それぞれのご家庭や地域で子供さんたちと触れ合う機会も多いと思います。市としても対応を議論し講じてまいりますが、ご家庭においても、インターネットとの向き合い方についてまず一緒に考えることから始めていただきたいと思います。

そして、顔と顔を見合わせながらのリアルなコミュニケーションこそが、人間らしく一番思いが伝わる手段なのだと、お互いに実感しながら考えてもらえれば、なおよいと思います!

令和元年8月1日

西宮市長 石井登志郎

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次