市長コラム2019年9月  「不登校」にみんなで向き合い、温かく支えよう

季節は夏の終わりを迎えておりますが、まだまだ残暑厳しい毎日です。各地の学校では、新学期が始まり、地域の通学見守り活動など、新たなスタートが始まっていることと思います。

さて、そんな二学期のはじめの時期ですが、この時期は、学校に行きたくないと思う児童生徒が一年の中で一番増える時期でもあります。西宮市では、色々な不安を抱える児童生徒の皆さんに向けたメッセージを市のホームページに掲載しています。相談窓口などの紹介もしておりますので、一度、ご覧いただければと思います。

→『2学期を迎える児童・生徒の皆さんへ』

https://www.nishi.or.jp/kosodate/kyoiku/gakkokyoiku/oshirase/2gakki.html)。

不登校に関連して、市長になってしばらくたった頃、印象的な出会いがありました。たまたまある場所で一組の母娘と隣り合わせになり、最初は他愛もない話をしていたのですが、しばらくしてその中学生くらいと思われる女の子に、「学校は楽しい?」「将来の夢は?」と聞いてみました。すると、なかなか返事らしい返事が返ってきません。あれ?、と私が思ったときに、お母さんが「市長さん、この子、学校に行けてないんです。不登校になっちゃって。」と聞かされました。どこからどう見ても健康で快活そうな女の子だったので、内心すごくびっくりしたのを覚えています。

不登校の問題は、日本全国にわたって深刻です。そのため、国会でも積極的な議論が展開され、2017年には「教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)」が施行されることとなりました。この法律によって、不登校となった児童生徒の対応が、大きく前進していくと考えられています。例えば、これまでは「学校にいくべき」とされていたものを、「学校を休んでもよいこと」、「学校以外の場の重要性」が明示されることとなりました。そして地方自治体に対しては、改めて個々の状況に応じた支援を行い、安心して教育を十分に受けられるように学校環境の整備を図ることが法に規定されることとなりました。

西宮市においても、不登校の児童生徒数はここ数年で増加(2014年は344人が2018年は816人)しており、市政の重要な課題です。西宮市においては、こうした児童生徒、そしてその不安を共有する保護者のみなさんを対象とした相談・対応を、各学校現場のみならず、「こども未来センター」においても行っております。市のホームページに、不登校への相談窓口などを掲載しておりますのでご覧ください。

→『不登校の支援について』

https://www.nishi.or.jp/kosodate/kodomomiraicenter/soudanshien/hutoukou_shien/chiiki_0865353190822.html

この秋からは、鳴尾北幼稚園跡地を活用して、不登校の児童生徒を受け入れる「あすなろ学級」を新たに設け、こども未来センターでは少人数向けの「あすなろ学級」を開設するなど、施策の拡充も図っています。

また、学校現場における相談体制については、担任教諭や生徒指導担当教諭に加えて、各校に心理相談の専門家であるスクールカウンセラー(SC)や社会福祉の専門知識を持つスクールソーシャルワーカー(SSW)を派遣する体制を整えています。教育委員会では、フリースクールなどの支援団体や親の会との意見交換も行っています。様々な手段、リソースを通じて、心に不安を抱える児童生徒に向き合っていきたいと考えています。

8月23日になるお文化ホールで開催された西宮市「中学生の主張」大会に私も耳を傾けに参りました。祖父母への感謝、幼くして亡くなった兄弟への思い、友達との葛藤などが熱く語られ、それぞれに心を打たれました。その中である生徒が、「逃げたからこそ、今がある」との趣旨でスピーチを行い、学校内の人間関係に悩み学校に行けなくなったときに、無理をせずにそこから逃げたことでこそ、今は楽しく生活を送ることができている、という気持ちの変遷を知ることができました。辛かった自分の内面を、「中学生の主張」という場で打ち明けることができたスピーチにとても感動するとともに、逃げることの大切さを説くという、深い示唆をかみしめました。

私たちは、児童生徒一人ひとりが自分らしい人生を送ること、そのことを望んでいます。風邪をひくことは誰にでもあること。それと同じく、心の風邪ともいえる不登校も、誰にでも起こりうることです。そんな時には、無理をせずに休む。そして誰かに打ち明け、相談する。私たちは、すべての西宮の子どもたちを、そんな思いで見守り、寄り添って参ります。

西宮市長 石井登志郎