市長コラム 令和元年(2019年)10月 環境問題に対する私たち大人の責務

9月27日、市役所において「環境ポスター展 表彰式」が開催されました。この表彰式は、環境学習都市を標榜するわが市の特徴的なイベントで、市内の小中学生による環境問題をテーマとした絵画の作品展です。今年は5,945点にもおよぶ応募作品の中から、絵画の出来映えと併せて作品のメッセージ性が評価された96点を優秀作品として表彰したものです。プラスチックごみに溢れた海中を涙を浮かべながら悲しげに泳ぐウミガメや、地球温暖化によってもたらされる気候変動の末路として大地の砂漠化や森林火災を描いたり、地球そのものを真っ赤にして地球温暖化を表現するような作品もあり、子どもたちのストレートで鋭い視点にハッとさせられました。

海外では、先月ニューヨークで開催された国連のサミットで、スウェーデンの高校生、グレタさんが世界の指導者たちに対して、地球環境問題にもっと真摯に取り組むよう、痛烈なスピーチを行ったという印象的なニュースが世界を駆け巡りました。環境問題に関しては、特にこうした若い世代のまっすぐな感覚こそが大切で、こうして大人たちに警鐘を鳴らし、問題意識を強く再認識させるのが彼らの役割なのかもしれない、と感じたところです。

さて、それでは私たち大人の責務とは何でしょう。それは、言うまでもなく、深刻化する地球環境問題に対して惰性でこれまでの政策を続けるのではなく、地球温暖化やゴミの海洋拡散を食い止めるために実効性ある政策を講ずることにあります。その中でも、各国のリーダーや地方自治体のリーダー、とりわけ西宮市においては市長である私をはじめとした市当局の責務は大きいものと感じています。そして、市民の皆さんにも環境問題に対する課題を共有していただき、一緒に行動していただかなくてはならないことは言うまでもありません。

地球温暖化の原因とされている温室効果ガスの排出量をどう減らすか、という課題についても、役所の建物や活動をどのようにエコに運営するかだけでなく、市民への情報提供や協力依頼は、自治体のとても大きな役割です。実際に、温室効果ガスの排出量に占める市民生活の割合は、年々増加の一途を辿っています。日本の温室効果ガスの排出量推移をみると、約30年前の1990年との比較によれば、産業部門は約18%の減少、運輸部門はほぼ横ばいですが、私たちの生活由来である家庭部門については約42%の増となっています(平成29年度現在環境省調べ)。これは、産業部門や運輸部門は省エネ技術の開発などで抑制が実現しているものの、私たちの生活周りについては個々の電化製品の電力使用量は減っていたとしても、そもそもの使用頻度が増えたがために、温室効果ガスも増えているとされています。確かに、30年前はエアコンも一家に一台あるかないかがほとんどでしたが、今や複数台あるようになり、テレビやパソコンの台数も増加し、トイレに温水洗浄便座が普通につく時代になりました。便利な世の中はとっても過ごしやすいのですが、その影響として温室効果ガス排出量が増えているとすれば、それはすべての市民を巻き込んだ上での政策形成をしなければなりません。

そうした思いから、これからしばらくの間は、私が市内各所に出向いて、「ごみとエネルギー」をテーマとした広聴会を開催してまわることとしました。11月9日に神原公民館での開催を皮切りに、この秋にはまず7か所で行い、環境問題に対する市としての現状認識と今後に向けた思いをお話しし、市民の皆さんのお考えも聞かせていただきたいと考えております。(広聴会の案内リンク)

冒頭に触れた「環境ポスター展」の入賞作品については、10月1日から6日まで市民ギャラリー(川添町15-26)において展示されることになります。皆さんも是非、小中学生の絵画に込められた、環境問題に対するメッセージを感じるために、「環境ポスター展」に足を運んでいただけたらと思います。そして、市民の皆さんと共に、より強い意識をもって地球環境問題に向き合う西宮市を作っていきたいと思います。

西宮市長

石井登志郎

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