夙川の桜並木 今ある美しさを守り受け継ぐこと
夙川河川敷緑地(夙川公園)の視察に訪れ、管理状況について確認をして参りました。きっかけは、ある市民の方から、「市長!、夙川の木がバサバサ切られとる! それとこの先ももっと切るような目印のようなものもあるが、知ってるか!? あれは止めなあかんで!」と連絡をいただいたことです。
夙川の桜並木は西宮市にとって良好な住宅都市の象徴であり、市民にこよなく愛されている大切な場所です。一方で、樹木が倒れたり人や家屋を傷つけたりしないように、安全面での管理の必要性から、やむなく伐採や剪定をすることもあります。景観と安全、このバランスがとても大切です。
実は今月に入ってから雨風も強くない日に一本の木が倒れたことがあったようです。そして、樹木の検診の結果が思わしくなく倒壊のリスクがある木など5本を伐採したと報告を受けました。今日はそれら一本一本について実際に目視して状況を聞いたところ、伐採の判断について妥当だと私なりに理解できるものでした。
一方で、私に連絡をくれた市民の方が、市はさらに伐採をしようとしている、目印も付けとるでと言われたのでその確認をしたところ、これ以上の伐採は現時点では予定はないとのことでした。では何を目印と言われているのかと思えば、いくつかの木に白い紐が巻かれていました。この紐は市が巻いたものではなく(眼鏡をかけた私が写っている写真の木です)、もちろん伐採の目印ではありません。おそらく何かの団体の方のフィールドワーク用に巻いてるものと思われますが、いずれにせよ市が管理や把握をしているようなものではありませんでした。
ここまでで市民の方のご心配は杞憂であることが確認できてそれはよかったのですが、夙川の桜並木の維持管理には結構な課題があることがわかりました。
桜の樹齢は人の一生程度だそうで、それなりの年限が経つと、寿命を迎えるそうです。一方で、夙川の桜は昭和24年以降に1,000本のソメイヨシノなどが植樹され、昭和60年以降の公園改良工事による桜の植栽とあわせて、現在の阪神間を代表する桜名所に発展しました。現在は桜が約1700本、松が1500本生育しており、その他にエノキやムクノキなど実生(自然に育ったもの)で大きくなった樹木が多数生育しています。
こうした中で桜以外の広葉樹が巨木化して倒壊のリスクが高まったり、桜の生育を阻害しかねないこともあるため、老齢化した桜も含めて伐採が不可避なものもあり、年に10本以上の伐採を行っています。それと共に、現在は年に25本程度の桜を新たに植樹しており(写真参照)ます。ただ今後の桜の寿命を考えると、もっと積極的に木の世代交代を図らねば今の美しい桜並木の景観が保てないかもしれない、ということのようです。
夙川の美しさは、市の象徴と書きましたが、あるのがあたりまえ、のような感覚を私も持っていたように思います。こうした、今ある市の財産を、守り受け継いでいくこと、その大切さと大変さを皆さんと共有ながら、進めていきたいと思います。