本日、令和5年度の施政方針演説を市議会にて行いました。今年は文教住宅都市宣言から60年、平和非核都市宣言から40年、環境学習都市宣言から20年という、西宮市政にとっての節目を迎える年であり、こうした宣言がなされた時代に思いを馳せながら、次の時代に向けたバージョンアップを期する、そんな一年にしたいとの思いで、本会議に臨みました。
私にとって5度目となるこの場からの演説ですが、これまで以上に、引き締まる思いで、心新たに臨むことができました。昨年に再選されて初めて迎える施政方針演説であることや、長引いたコロナ禍の出口も見えつつあることなどから、二期目も二年目に入る中でギアをトップに入れて頑張っていきたい、そうした思いが湧き出たのだと思います。派手さや奇抜さはないかもしれませんが、地に足をつけて、私らしくまっすぐに、より住みやすく暮らしやすい西宮市を作っていくために、全力で取り組んでまいります。
施政方針演説の全文を掲載いたします。お時間のある方は、ぜひご一読ください!
令和5年度西宮市施政方針
西 宮 市 長 石 井 登 志 郎
本日ここに、西宮市議会第21回定例会の開会にあたり、新年度予算案をはじめ諸議案の提案とともに、私の施政方針を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご支援を賜りたいと存じます。
はじめに
昨年3月の市長選挙で、西宮市政を「さらに、前へ!」と訴え、市民の負託を受けることとなり、引き続き市政を担わせていただくこととなりました。今任期においては、令和7年度に市制施行100周年を迎え、本年は本市の三つの都市宣言が節目の年を迎えます。この大きな節目の時期に市政の舵取りを担う重責をかみしめながら、全力で職務にあたってまいります。
<三つの都市宣言と市制施行100周年>
西宮市のアイデンティティともいえる「文教住宅都市宣言」は、今なお、その理念は輝きを保っていると考えていますが、一方で、宣言から60年という歳月を経て、当時と時代背景が大きく変化していると感じています。この変化を踏まえて、文教住宅都市として更なる発展を目指すことに加え、増加する共働きの子育て世帯の支援や働く場の創出、地域コミュニティの強化など、時代の変化に合わせた、市政のバージョンアップを図っていく必要があります。また、40周年を迎える「平和非核都市宣言」と、20周年を迎える「環境学習都市宣言」についても、その宣言を行った当時に思いをはせながら、この節目にあたり、未来につながるメッセージを紡いでいきたいと考えております。世界情勢や地球環境問題など、私たち
を取り巻く状況はあまりに混とんとし、不透明でありますが、そのような時代だからこそ、市民が共有できて行動につながる光明が見いだせるよう、取り組んでまいります。
そして、三つの都市宣言の節目の先に見据えるのは、令和7年度に迎える市制施行100周年です。住みたいまちとして高評価をいただく本市でありますが、それは自然とそうなったわけではなく、先人たちのまちづくりにかける思いの積み重ねが、今の西宮市を作り上げたと考えています。そうした今日までの歩みを踏まえながら、都市の魅力を更に高めていく不断の取組も必要です。新年度から、市制施行100周年に向けた準備に着手いたしますが、更なる施策の充実とともに、未来志向のまちづくりについても、意欲的に前進させる一年にしてまいります。
<行政経営改革>
このような中で不可欠なのが、行政経営改革の推進です。「西宮市行政経営改革」の前期実行計画は、改革の趣旨を踏まえた各部局からのボトムアップによる手法で策定しましたが、今年度中に策定する令和5年度から7年度までを計画期間とする中期実行計画は、より横串を意識したトップダウンによる手法を中心に策定を進めてまいります。主要な経営課題に加えて、組織の縦割りを排した庁内横断的な取組を進め、業務効率化や市民の利便性向上を図りつつ、改革の推進を通じて人員や財源など経営資源の捻出と適正配分を進めていきたいと考えております。
続いて、新年度に実施する主要な事業・施策について、第5次西宮市総合計画の体系に沿ってご説明いたします。
Ⅰ 住環境・自然環境
まず、基本計画の第Ⅰ部「住環境・自然環境」についてです。
本市の良好な住環境や豊かな自然環境、美しい景観は、市民の財産であり、誇りです。この素晴らしい財産を守り、未来に引き継ぐ取組を進めてまいります。
兵庫県下でも有数の桜の名所であり、市民の憩いの場として長く親しまれてきた夙川公園の景観の保全に着手するほか、老朽化した公園のリニューアルにも引き続き取り組みます。
おおむね10年ごとに実施している自然調査事業では、子供から大人まで幅広く参加し、多くの市民が身近にある自然環境や生き物に触れる機会にしてまいります。
本市の臨海部では、名神湾岸連絡線の整備、リゾ鳴尾浜の閉館、甲子園浜にある土地開発公社所有地の活用など複数の課題がありますが、これらの課題に対して全体を俯瞰したビジョンを描き、臨海部全体の土地利用の再編を検討する必要があります。コンビナート誘致を中止した本市の歴史を踏まえ、都市部でありながらも貴重な自然が残る良好な環境を適切に保全するとともに、市内企業の継続的な育成に必要な事業用地の確保、市民の健康増進やレクリエーション環境の拡充を目指した臨海部の土地利活用構想の策定に本格的に着手してまいります。
阪急武庫川新駅は、昨年11月に尼崎市、阪急電鉄との3者で基本合意書を取り交わしたことを受け、周辺整備も含めた早期実現を目指してまいります。
コミュニティ交通では、名塩地区の第2回試験運行を継続するとともに、甲陽園等の複数の地区でも試験運行に着手します。
このような公共交通の取組を通じ、市全体としてウォーカブルなまちづくりを推進してまいります。
Ⅱ 子供・教育
次に、基本計画の第Ⅱ部「子供・教育」についてです。
共働きの子育て世帯の割合が増える中、安心して子育てができる環境が求められています。西宮の子供たちのために、地域がつながり、社会全体で子供を育み、子育てを支えていくための機運を醸成する「(仮称)宮っ子つながり支える条例」の制定に向けて取り組んでまいります。
また、少子化対策として、出会いの機会創出や、子育ての不安解消に向けた啓発に取り組むほか、市営住宅を活用した子育て世帯への支援を検討してまいります。
昨年4月の保育所の待機児童は前年度に比べて大きく減少しましたが、保育ニーズは増加しており、引き続き、受入枠の拡大と保育士確保に取り組んでまいります。
また、公立保育所における使用済み紙おむつの園処分や、ICTを活用した保育所業務支援システムの導入により、保護者の利便性向上や業務の効率化を図ってまいります。
公立、私立の幼稚園、保育所等が連携・協力を図り、「西宮市幼児教育・保育ビジョン」の実現に向けた取組を推進してまいります。その中で、公立園が必要な役割を果たしながら、より効率的な運営ができるよう、公立幼稚園と公立保育所を再編してまいります。
また、児童虐待など高いリスクを抱える子供たちを、市が一貫して守り育む体制を作っていくため、子ども家庭総合支援拠点の充実を図るとともに、市として児童相談所の設置に向けた検討を始めることとします。
教育で一番大切なことは、子供の「生きる力」を育成することです。現代は「VUCA」の時代と言われています。変動性・不確実性・複雑性・曖昧性の英単語の頭文字を取った造語で、様々な分野や場面で未来の予測をすることが難しくなった社会の特性を表しています。このような時代において、子供に必要な「生きる力」を育むために、自ら解決すべき課題を見つけ、主体的に考え、多様な立場の人々と議論し、協働して納得のいく答えを生み出すような活動を学校教育の様々な場面に取り入れてまいります。
そのような力を養うには学校だけではなく、地域との協働が欠かせません。令和5年度に幼稚園を除く全市立学校で導入するコミュニティ・スクールが、地域との協働のベースとして、効果的に機能するよう取り組んでまいります。地域の方々と共にきめ細かな見守りを行って、放課後の子供の自由な遊び場や学びの場を提供する放課後キッズについても堅実に広げてまいります。
共生社会の形成を目指して、障害のある子供と障害のない子供との交流及び共同学習を更に進め、誰もが共に学べる環境づくりに取り組んでまいります。支援員や看護師の配置など障害の状態に応じた専門性のある支援体制を構築し、合理的配慮の基礎となる環境整備を進めるほか、重度・重複化していく児童生徒に対する支援の充実を図るため、特別支援学校教諭免許状を取得する際に掛かる費用の一部を補助することによって、教員の専門性を高めてまいります。
老朽化している学校施設については、建替え、改修を計画的に進めてまいります。学校トイレの洋式化など環境改善に引き続き取り組むとともに、令和7年度の完了を目指して学校体育館の空調整備も進めてまいります。
Ⅲ 福祉・健康・共生
次に、基本計画の第Ⅲ部「福祉・健康・共生」についてです。
少子高齢化や高齢者のみの世帯の増加、核家族化の進行による家族機能の低下や地域のつながりの希薄化に起因して、ひきこもりや8050問題、ヤングケアラーなどの新たな社会問題が発生しています。これらの問題は、困窮、障害、家族力の低下など様々な要因が複合的に絡み合い複雑化しているため、これまでの専門分野ごとの支援ではなく、重層的な支援体制の構築に向けた取組に着手してまいります。
包括的かつ継続的な支援を行うための中心的役割を果たす地域包括支援センターについて、高齢者の増加に伴う相談件数の増加や相談内容の多様化に対応するため、専門職の人員体制を強化します。
障害のある人もない人も、ともに生き、ともに支え合うまちづくりの実現に向けて、令和5年度に施行が見込まれる「障害者差別解消法」の改正による、民間事業者の合理的配慮の義務化について、企業を対象とした「あいサポート運動」を拡充し、周知・普及に努めます。
子育て支援、物価高騰による経済的支援の観点から、本年1月よりこども医療費助成制度の所得制限を見直し、新たに高校生世代まで対象を拡大しました。また、妊娠・出産に係る経済的不安を軽減するため、妊婦健康診査費用について助成額を増額します。妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援の取組等とも併せて、出産・子育てに係る様々な負担を軽減する取組を進めてまいります。
市立中央病院と県立西宮病院の統合新病院については、令和8年度の開院を目指して建設工事に着手いたします。
統合までの間、市立中央病院では、経営改善の取組を継続するとともに、通常診療と新型コロナへの対応の両立を図りながら、地域医療支援病院として市民の命と健康を守る役割を果たしてまいります。
また、統合後の市立中央病院跡地については、民間医療機関の誘致を進めるとともに、特別養護老人ホームなどの高齢者福祉施設や保育所など子育て世帯を支援する施設を整備し、活用する予定です。
新型コロナの対策については、5月からは5類相当に引下げとなる予定であり、今後示される国や県の指針に沿って対応していくことが基本となりますが、市民に直接向き合う保健所設置市としての責務を引き続き果たしてまいります。アフターコロナの社会活動再開とのバランスも勘案しつつ、メリハリのある体制で臨んでまいります。
Ⅳ 都市の魅力・産業
次に、基本計画の第Ⅳ部「都市の魅力・産業」についてです。
市民が年齢、性別、障害の有無などにとらわれず、これからの社会を生きる力を身につけることができるよう、「西宮市生涯学習推進計画」に基づき、学んだ成果や学びを通じた人のつながりが地域活動に還元され、誰もが安心して暮らすことができるまちづくりを進めてまいります。
(仮称)越木岩センターの整備については、施設の有効活用に向けた地域住民との意見交換を通じて、幅広い世代の市民が集う図書館の機能をいかしながら、多世代にわたる地域住民の居場所として、地域活動への主体的な参画や地域づくりにつながる「学びと活動の好循環」を実現する仕組みを備えた拠点施設を目指します。
図書館は、文教住宅都市にふさわしい情報拠点となるよう、読書環境の充実を図ってまいります。また、阪神西宮駅北側への中央図書館の移転に向けて、駅前立地をいかした「知と交流の拠点」を目指し、検討を進めます。
新型コロナの拡大により一旦見合わせていた中央運動公園及び中央体育館・陸上競技場等再整備事業については、改めて必要とする機能等の精査を行い、誰もが利用しやすい公園として、また環境に配慮したZEB体育館として事業者の募集に着手します。
市内産業・商業振興のため、「第4次西宮市産業振興計画」を策定してまいります。現計画期間においては新型コロナの影響により計画の進捗が停滞し、またニューノーマルの登場などにより社会状況が大きく変化しました。次期計画策定においては産業実態調査の結果を踏まえ、商工業関係者や有識者を交えた議論を行い、新たな社会に対応した具体的な支援につながる計画となるよう取り組んでまいります。
再整備を進めてきた卸売市場は、いよいよ令和5年秋に竣工となります。食の流通拠点としての機能に加えて、催し物の開催などにより市民に親しまれる卸売市場として、本市の都市核における新たなにぎわいの拠点となるよう取り組んでまいります。
Ⅴ 環境・都市基盤、安全・安心
次に、基本計画の第Ⅴ部「環境・都市基盤、安全・安心」についてです。
世界的な環境意識の高まりに加え、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギーの供給不安や価格高騰もあり、エネルギーの地産地消を進めることは更に重要となっています。
私が一昨年前のこの場で表明した2050年ゼロカーボンシティ達成を目指し、市長直轄の環境政策推進会議を中心に、全庁的な課題として環境問題への取組を進めています。
まずは行政の率先した行動として、2030年までに公共施設の電力消費ベースでのゼロカーボンの達成を図ります。現在進めている照明設備のLED化をはじめとした公共施設の省エネ改修やZEB化を推進するとともに、公用車への電動車の計画的な導入に取り組みます。さらに、モデル的に実施している東部及び西部総合処理センターの廃棄物発電の供給施設の拡大や、PPAなどの手法による再エネ電力の調達拡大など電力の地産地消を検討してまいります。
また、事業者を対象に、新たに電気自動車や燃料電池自動車の導入補助を実施します。
ごみの削減に向けた取組も更に進めてまいります。
指定袋の導入は一定の成果を上げており、粗大ごみのリユース促進や容器の再利用など企業とも連携した取組を進めています。今後は事業系廃棄物の削減に向けて、事業系古紙類の分別排出の義務化に伴う市施設への搬入制限や古紙回収拠点の活用のほか、そもそもの廃棄物発生の抑制につながる製品開発の支援等を進めてまいります。
市民一人ひとりが環境問題に取り組むことも大切です。環境学習のこれまでの歩みを振り返りつつ、小学生を主な対象としていた取組をあらゆる世代に拡大するために、多様な主体とのパートナーシップの充実やコーディネーターの育成など、バージョンアップを図ってまいります。
また、環境学習のバージョンアップに併せて、その内容を未来の行動指針として市民や関係者に分かりやすく伝えるツールとして、環境都市ビジョンの作成に着手し、三つの都市宣言の節目から市制施行100周年を迎えるこのタイミングで、次の100年のスタートに向けた取組として進めてまいります。
更新時期が近づいている西部総合処理センター破砕選別施設の代替施設である東部総合処理センター破砕選別施設の建設工事に着手します。
また、昨年4月に施行された「プラスチック資源循環法」の趣旨や本市の「プラスチック・スマート・アクションにしのみや」におけるプラスチックごみ削減の取組を促進させるために、令和8年度の分別区分の見直し時に合わせた製品プラスチックの分別回収・資源化を実施すべく、検討を進めてまいります。
さらに、経年劣化している西部総合処理センター焼却施設の更新については、東部総合処理センター焼却施設との集約に向けて検討を進めてまいります。
昨年、本市の掲げる環境学習都市宣言に賛同していただいたソロモン諸島ホニアラ市から要請を受け、深刻なごみ問題を改善するために、使用予定期間を終了したごみ収集車を官民連携により寄贈しました。ホニアラ市からは、この連携を更に深めたいとの申出を受けています。先進国と途上国、環境問題の深刻さが顕在化するのは大概後者ですが、私たちはそれを意識せずに暮らしています。私はこの連携を機に、西宮の子供たちにグローバル化がもたらす環境問題の現実を知るきっかけを作りたいと思います。
白水峡公園墓地内に間もなく完成する合葬式墓地の公募を開始します。
また、近年増加傾向にある墓じまい等の動向を踏まえて、一般墓地から合葬式墓地への改葬を促進する制度についても検討してまいります。さらに、社会情勢等の変化に伴って埋葬の形が一般墓地から合葬式墓地や樹木葬など、多様化している状況を踏まえて、市政モニター制度を活用した市民ニーズの把握とそれに基づく需要予測を行い、墓地行政に関する基本方針の策定に取り組んでまいります。
水道事業については、施設の長寿命化や老朽管の更新を計画的に行うことで費用の縮減や平準化を図りつつ、近隣水道事業体との広域連携の研究を進めるなど、必要な施策を推進してまいります。
また、下水道事業については、多発する局地的な豪雨等に対応するため、治水安全度を向上させるための雨水浸水対策を進めるほか、管渠や処理場等の地震対策及び改築更新を進めてまいります。
道路については、効率的で迅速な維持管理に努めるとともに、幹線道路等の整備を進めてまいります。北部地域においては、国道176号(名塩道路)の整備が着実に前進するよう、国に対する働きかけを継続し、東久保地区を含めた令和8年春の全線開通に向けて全力を尽くしてまいります。また、沿線の開発計画に伴う交通処理のため、山口南幹線の四車線化に向けて事業着手します。丸山線の整備については、調査等を進めていましたが、一度立ち止まり、実施手法等について改めて検討いたします。南部地域においては、引き続き山手幹線の道路整備や小曽根線などの道路改良を着実に進めてまいります。
令和3年度から運用を開始している危機管理センター及び防災情報システムを活用した防災訓練や研修等に引き続き取り組むとともに、その結果を検証し、改善を積み重ね、南海トラフ地震等の大規模災害に備えた防災体制の強化に取り組んでまいります。
消防体制の強化については、鳴尾消防署浜分署へポンプ隊を新たに配置することで、より効果的な消防活動を展開し、災害による被害の軽減を図ってまいります。
本市において特殊詐欺の被害は2億円を超え、年々深刻化しており、喫緊の対策が求められています。市と警察と防犯協会の3者が断固たる決意を持って特殊詐欺による被害の撲滅を目指し、既に実施している対策機能付き電話機購入補助等に加え、新たな取組として、希望する高齢者の対象世帯に特殊詐欺対応の自動通話録音機の無償配付を実施してまいります。
Ⅵ 政策推進
最後に、基本計画の第Ⅵ部「政策推進」についてです。
新型コロナの感染拡大防止のため外出の自粛や地域活動が中止・縮小されたことなどにより、日常的な地域でのつながりが希薄化するなど、地域社会も多大な影響を受けました。このため私たちは、市民生活における地域のつながりの大切さを再認識したところです。
長期化する感染対策により地域活動も大きな影響を受け、一部の地域活動団体ではこれまでの活動や団体そのものの維持が困難になるなど、地域活動や地域行政のあり方についても様々な課題に直面しています。
持続可能な地域社会や地域活動の実現に向け、地域と協働する関係部署が連携し、どうすれば地域の皆様が活動しやすくなるのかを市民の皆様と共に考え、市が果たすべき役割について検証し、地域の実情等に応じた様々な地域活動を支援できるよう、地域行政のあり方の見直しに取り組んでまいります。
また、地域で活躍される市民や事業者等の皆様と市が協働する基盤となる「参画と協働の推進に関する条例」の検証も進めており、これらの取組を通じて、市民社会を支える、市民のボランタリーな活動を後押しする市役所を目指してまいります。
公共施設マネジメントでは、令和4年3月に策定した「西宮市建築系公共施設個別施設計画」に基づき、長寿命化改修事業に着手し、公共施設等の総合的かつ計画的な管理に取り組んでまいります。
公共事業に係る建設工事費については、資材価格の高騰だけではなく、様々な要因が複合的に影響するため、今後も長期的に上昇していく可能性が指摘されています。一方で、市としては将来の社会経済活動に必要な基盤を必要以上に将来世代に負担を負わせることなく整備していく責任があり、社会資本整備については確固たる根拠が少ない中で先送りするよりは、必要と判断したタイミングにおいて、財源の確保や費用対効果の改善にできる限り努力した上で、着実に進めていきたいと考えております。文教住宅都市としての魅力を高める上で、良質な公共施設は重要であり、老朽化が進む公共施設の適切な管理・保全と計画的な整備・更新を進めてまいります。
本庁舎周辺整備については、阪神西宮駅北地区のまちづくりと連動したウォーカブルなまちづくりの推進に向けた計画策定にも取り組みます。また、保健所・江上庁舎の跡地の有効活用に向けて、引き続き検討を進めてまいります。
広報・広聴では、戦略的な広報を展開していくために、外部人材を登用して、広報戦略の策定や市政ニュースのリニューアル、SNSの積極的な活用に取り組むほか、市ホームページをリニューアルするなど、市の発信力を強化してまいります。
また、市民の声の中でも中学生・高校生からの声専用の投稿入り口「Teen‘s Voice」を新たに設け、若者が意見を市政に届けやすくなるよう広聴の強化を図ります。今年度に発足したYouth委員会の取組と併せて、若者のシチズンシップの醸成につなげてまいります。
このほか、6月から受付け開始予定の総合コールセンターの導入により、土日を含む市役所の開庁時間以外における市民からの問合せ対応を拡充するなど、市民の利便性向上と業務の効率化を図ります。
人事マネジメントにも一歩踏み込む必要があります。限られた人的資源で新たな行政需要に的確に対応するため、令和5年度に定員管理計画を策定し、人材配置の適正化に取り組むとともに、人事評価に基づく職員のモチベーション向上につながる仕組みづくりや、超過勤務時間の縮減など働きやすい職場環境の整備に取り組み、働き方改革を進めてまいります。
また、市職員の不祥事再発防止については、これまでも全庁を挙げて取り組んでまいりましたが、引き続き、「不祥事再発防止に向けた取組方針」に沿って取組を進め、市民から信頼される組織となるよう努めてまいります。
市役所の業務やオフィスの変革も積極的に進めてまいります。ペーパーレス化を進めて更なる効率化を図るとともに、新型コロナ対策などにより増加しているオンライン会議に適切に対応するための環境整備にも取り組んでまいります。
DX推進関連については、「西宮市情報化推進計画」の第6次計画の策定を行うとともに、それと相互補完の関係にある「西宮市DX推進指針」に基づくDXの推進を行ってまいります。具体的には、引き続き官民連携による課題解決に取り組むほか、電子申請システムの対象手続の更なる拡大、デジタル人材の育成に取り組んでまいります。また、実証実験の結果を踏まえた各種ICT化の本格実施や、地方公共団体情報システムの標準化を着実に進めることで、行政経営改革の推進等につなげてまいります。
行政経営改革については、令和5年度からの中期実行計画において、こうした取組を着実に進めるとともに、2年度から4年度までの前期実行計画の取組の成果について、整理・検証した上で夏頃にお示しいたします。
予 算
次に、令和5年度予算について概要をご説明いたします。
歳出では、待機児童対策などの子育て支援や、ゼロカーボンシティ実現に向けた取組、市民サービスの向上や業務の効率化に資するICT化の取組などを重視した予算編成を行いました。
一方、歳入においては、根幹となる市税収入について、経済の緩やかな回復基調による増収を見込んでおりますが、臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税については減となっております。また、市債の活用も積極的に進めておりますが、喫緊の行政課題への対応に必要な財源の確保が難しいため、不足する額については、財政・減債基金から繰り入れることとしました。
このように編成いたしました新年度予算は、
一般会計 1,952億3,184万8千円 前年度比 0.3%減
特別会計 906億2,449万8千円 前年度比 0.2%増
企業会計 452億5,931万2千円 前年度比 1.6%減
合 計 3,311億1,565万8千円 前年度比 0.3%減
となっております。
むすび
およそ3年にも及んだ新型コロナ対応も、国から5類相当へと引き下げる方針が示され、大きな節目を迎えることとなります。まさにトンネルの出口が見えたという感覚でもありますが、この先の市政運営にこそ難題が山積しており、それらに向き合うべく、決意を新たにしている次第であります。今を生きる私たちだけでなく、未来を生きる宮っ子たちにも常に思いをはせながら、市政運営にあたってまいります。
以上、新年度の市政に臨む私の決意と施策の大要を申し上げました。
議員各位並びに市民の皆様のご支援をお願い申し上げますとともに、予算案をはじめとする諸議案にご賛同賜りますようお願いいたします。