3月議会の初日となる2月15日、市議会本会議場において施政方針演説を行いました! 以下、その全文を掲載しておきます。
令和4年度西宮市施政方針
本日ここに、西宮市議会第16回定例会の開会にあたり、新年度予算案をはじめ諸議案の提案とともに、私の施政方針を申し上げ、議員各位並びに市民の皆様のご理解とご支援を賜りたいと存じます。
はじめに
<新型コロナウイルス感染症対策>
新型コロナウイルス感染症対策も、もう間もなく3年目となります。
新型コロナウイルスにより亡くなられた方々と、ご家族の皆様に心よりお悔やみ申し上げますとともに、厳しい闘病生活を送っておられる方々に心よりお見舞い申し上げます。また、長期にわたる対応となっているなか、医療関係者をはじめとした感染症対策に従事する方々や、日々の生活を支えるエッセンシャルワーカーの皆様に感謝と、感染症対策にご協力いただいている市民、事業者の皆様にも御礼申し上げます。
市役所におきましても、保健所を中心に感染者への対応やワクチン接種など、全庁を挙げて取り組んでいるところです。市民の皆様への適切な情報発信に努めるとともに、3回目のワクチン接種が1日も早く市民の皆様に行きわたるよう取り組んでまいります。また、市民生活や地域経済への支援にも引き続き取り組み、特にコロナ禍の影響を大きく受けているひとり親家庭への支援には力を入れてまいります。
コロナ禍を乗り越え、これまで以上に暮らしやすく、活気のあふれる西宮市としての発展に向けて、全力を尽くしてまいります。
<行政経営改革>
私が就任時から重視してきた「市役所改革」は、私自身の退職金の廃止と給料の減額を起点として、平成20年度を最後に10年間にわたり具体的な方針を定めてこなかった「行政経営改革」の旗を、改めて掲げることから始めました。目指す姿を「市民と共に新たな価値を生み出す市役所改革」とし、「OPEN(市民に開かれた市役所へ)」、「SMART(合理的で無駄のない市役所へ)」、「RELIABLE(市民から信頼される市役所へ)」を改革実行の三つの視点とした「西宮市行政経営改革基本方針」を令和元年に策定して、これまで取組を進めてまいりました。
令和4年度は前期実行計画の最終年度にあたり、計画に掲げた取組項目を進めるとともに、目標の達成に向けて、次の「中期実行計画」の策定にも取り組む必要があります。少子化・高齢化に伴う社会保障費の増大や公共施設の老朽化対策のほか、ウィズコロナ、カーボンニュートラルなど新たな行政課題にも的確に対応する必要があり、これらの経営資源の捻出に向けて既存事業についても見直していかなければなりません。具体的には、同じ目的の事業は縦割りを排し、更には官民の垣根を越えて「統合」することで、施策の質を向上させたり、これまでの仕事のやり方を見直して無駄を廃し、少ない経費でより価値の高い成果を出せるよう「改善」することを職員に意識づけることで、市民サービスを低下させることなく、行政経営改革を前に進めてまいります。
中期実行計画には、この「統合」と、「改善」の視点での取組や、人員や財源など必要な経営資源の捻出に向けた取組を強化することについても検討してまいります。
続いて、新年度に実施する主要な事業・施策について、第5次西宮市総合計画の体系に沿ってご説明いたします。
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Ⅰ 住環境・自然環境
まず、基本計画の第Ⅰ部「住環境・自然環境」についてです。
整備後30年以上を経過した都市計画公園のリニューアルは、地域の方々の意見も取り入れて進めており、もう間もなく学文殿公園のリニューアルが完成いたします。引き続き公園を利用される方々の意見等を踏まえ、市民の皆さんが憩い、集える公園の再整備に取り組んでまいります。
また、西宮浜総合公園は、昨年4月に「みやっこキッズダム」がオープンし、多くの方々が訪れ、子どもの声があふれる公園となっています。令和4年度は人工芝ハーフグラウンドの整備や、「にぎわい創出ゾーン」の活用を含む公園全体の総合的な管理を行う指定管理者の公募を実施いたします。
昨年9月に兵庫県、尼崎市、西宮市、阪急電鉄の四者の合意を得て、阪急武庫川新駅の設置に向けて大きく前進しました。引き続き新駅設置に向けた四者の検討を行い、実現に向けて取り組んでまいります。また、武庫川広田線整備事業や樋ノ口土地区画整理事業を着実に進めるとともに、武庫川新駅の設置を見据えた甲東瓦木地区におけるまちづくりについて検討してまいります。
北部地域等に代表される公共交通不便地域において交通課題を解決するため、これまで地域の方を中心に交通事業者や行政機関との協議を進めてきた結果、コミュニティバスの本格運行に先立つ試験運行について一部の地域でまとまりつつあります。今後も地域が主体となったコミュニティ交通の導入・運営を行う取組に対し、引続き技術的・財政的な支援を行ってまいります。
Ⅱ 子供・教育
次に、基本計画の第Ⅱ部「子供・教育」についてです。
?本年3月に、西宮の子供たちを育む共通理念となる「西宮市幼児教育・保育ビジョン」の策定を予定しております。「遊び」と「親子関係」の大切さや「子ども中心の幼児教育・保育」の重要性について、議論を重ねてきましたが、ビジョンに描いた理念の実現に向けて、公私立の幼稚園・保育所等と共に取組を進めてまいります。一方、幼児教育・保育を取り巻く環境は大きく変化しており、市として今後、具体的にどのような幼児教育・保育を実現していくかを考えていく必要があります。そのため、子供を中心とし、誰一人取り残さず、中長期的に持続可能な仕組みがつくれるよう、令和4年度から、今後の幼児教育・保育施設のあり方について具体的な検討に着手いたします。
本市における最重要課題の一つである保育所等の待機児童対策は、着実に成果を挙げており、令和4年4月の待機児童数は大幅に減少する見込みです。引き続き、保育所の整備等を進め、安心して子育てできる環境を整えてまいります。また、民間保育所において保育現場を担う保育士の確保に向けた新たな取組として、新規採用保育士に対する一時金の支給事業を実施いたします。
子育てにおける窓口等の手続を簡素化し、利便性を高める取組を進めております。施設型の病児保育について、煩雑な書類手続を無くし、インターネットを通じて利用予約することができるシステムを本年2月から導入したことに加え、保育所の入所申請の電子化など保育所入所業務全般のICT化を進めます。また、乳幼児健康診査予約システムを導入し、受診者がいつでも予約や変更ができるようにすることで利便性の向上を図ります。
本年1月に設置した子ども家庭総合支援拠点では、社会福祉士や公認心理師などの資格を有する支援員が、全ての子供とその家庭及び妊産婦を対象に専門的な相談対応や訪問等を実施することで継続的な支援に取り組んでおります。
コロナ禍において、子育て世帯、特にひとり親家庭に大きな影響が出ております。このような家庭を支援するため、家事・育児等に不安や負担を抱えている子育て世帯への訪問支援を新たに始めるほか、一時的に児童の養育が困難となった場合に児童を預かる子育て家庭ショートステイ事業の上限日数等を拡充します。また、これまで中学3年生を対象に実施しておりました生活困窮世帯の子供の生活・学習支援については、対象を中学1年生まで拡充します。
学校教育においては、多様な子供たちの資質・能力を育成するため、これまでの教育実践と最先端ICTのベストミックスを図り、「GIGAスクール構想」に基づく個別最適な学びと、社会につながる協働的な学びの充実に取り組んでまいります。また、令和2年度末に公表した「GIGAスクール・スタートパッケージ」についても、これまでの運用状況や児童生徒・教職員の意見を参考に内容を更新し、各校の実践による好事例を情報共有しながら、一層の活用促進を図ってまいります。
学校施設については、令和2年度に中学校に整備した体育館空調の効果検証を踏まえ、教育活動のみならず、避難所としての環境改善、地域スポーツの利用促進に資するべく、令和7年度の完了を目指して全ての学校体育館に空調を整備することといたしました。改築をはじめ、老朽化が進む学校施設の長寿命化改修や、トイレの洋式化など環境改善にも引き続き取り組んでまいります。
共働き世帯の増加等により、本市における留守家庭児童育成センターの利用ニーズは高まり続けております。学校敷地内での施設の整備や学校教室の改修等と併せて、民間による放課後児童クラブの開設を積極的に進めることで受入児童数の増加を図ってまいります。
放課後に学校施設等を活用し、児童の健やかな育ちを支える放課後キッズルーム事業については、地域の方々の参画を得ながら、現在20校で実施しており、令和4年度は更に6校で開設してまいります。今後は、コーディネーターを配置し、きめ細かな見守りを行う直営型を基本とし、数年をかけて全校で実施することを目指してまいります。
不登校児童生徒への支援については、教育支援センター「あすなろ学級」を順次開設し、社会的自立を目指して学習活動等を行っております。令和4年度は、新たに浜脇地区・上ケ原地区にサテライト型の「あすなろ学級」を開設し、全市での体制を整えてまいります。また、各施設の特色を生かした創作活動や合唱等の取組をはじめ、GIGAスクール構想によるタブレットを用いた学習を可能にするなど、一人でも多くの不登校児童生徒を支援してまいります。
学校と地域が連携した「地域とともにある学校づくり」を目指すコミュニティ・スクールは、現在24校で導入しております。導入した学校では、地域や保護者が当事者意識を持って協議し、学習支援活動を行うなど、組織的な取組が進んでおります。令和4年度は新たに18校での導入を目指し、社会総がかりで子供を育む取組を進めてまいります。
Ⅲ 福祉・健康・共生
次に、基本計画の第Ⅲ部「福祉・健康・共生」についてです。
「みんながつながり 支えあい 誰一人として取り残すことなく 共に生きるまち 西宮」を基本理念とする「第4期西宮市地域福祉計画」を策定しました。地域共生社会の実現に向けて、行政や関係機関、市民をはじめとする多様な主体が協働し、地域づくりに取り組んでまいります。
コロナ禍において、離職や減収などにより厳しい生活を強いられている生活困窮者が増えていることから、相談窓口である「ソーシャルスポット西宮よりそい」の人員体制を引き続き強化し、就労など生活の安定に向けて支援してまいります。
また、福祉施設における感染症対策への支援等についても引き続き実施してまいります。
新型コロナウイルス感染症が拡大してからの懸念の一つに高齢者の健康維持があります。高齢者の健康増進を図り、できる限り健やかに過ごせる持続可能な社会とするため、これまで保健所や各保険者等で個別に実施してきたフレイル予防事業を一体的に推進してまいります。
また、高齢者の健康増進、介護予防、健康寿命の延伸を目的として昨年10月に開始した健康ポイント事業や、まちなかのどうぞベンチ、公園における健康遊具の設置など、まち歩き等を通じた健康増進の取組も積極的に進めてまいります。
市立中央病院と県立西宮病院の統合新病院については、令和7年度の開院を目指して建設工事に着手いたします。統合後の市立中央病院跡地活用については、資産の有効活用を前提に民間医療機関の誘致を進めるとともに、敷地全体の活用計画を取りまとめてまいります。
また、統合までの間、市民に安定した医療サービスの提供を続けるために、中央病院の経営改善について取組を継続し、新型コロナウイルス感染症の対応のみならず、地域医療支援病院として市民の命と健康を守る役割を果たしてまいります。
インターネット等による差別書き込み、性的マイノリティへの偏見、新型コロナウイルス感染症に関する差別や誹謗中傷など新たな人権課題が顕在化しております。全ての人の人権が尊重され、多様な価値観やライフスタイルを互いに認め合うことができる、住みやすいまち、居心地の良いまちの実現を目指し、人権教育、啓発を行うほか、「西宮市性の多様性に関する取組の方針」を策定し、パートナーシップ宣誓証明制度の導入などの取組を進めてきました。今後も学習機会の提供や活動の支援、生きづらさに寄り添う支援を実施してまいります。
Ⅳ 都市の魅力・産業
次に、基本計画の第Ⅳ部「都市の魅力・産業」についてです。
生涯学習推進計画に掲げる本市の目指す将来像「学び つながり ささえあうまち ~文教住宅都市 にしのみや~」の実現に向け、各施策分野における啓発や協働の取組相互の連携を図ることにより、学びと活動の好循環を促進します。また、地域で活動する多様な主体がつながりを深め、楽しみながら地域課題の解決について話し合う場づくりを進めるなど、地域の実情に対応しながら、市民力の醸成と地域力の総合化に向けて取り組んでまいります。
図書館は、知のインフラとして、市民生活に寄り添い、課題解決を支援する役割を果たせるよう、資料収集とレファレンスの充実に努めてまいります。また、貸出冊数などで中核市の中でもトップクラスの利用があることを活かし、様々な手法で情報発信を行い、市民の読書振興に取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症により多大な影響を受けているアーティスト等を支援するため、令和3年度に設置したアーティストバンクを継続し、アーティストと市民の文化活動基盤の醸成を目指します。また、感染症の拡大防止策を徹底しながら実演芸術を市民に提供する機会の充実を図ってまいります。
中央運動公園及び中央体育館・陸上競技場等再整備事業については、新型コロナウイルス感染症拡大により、社会経済情勢の変化や本市の財政状況への影響があったことを受けて、これまで検討してきた基本的な機能は尊重したうえで、改めて必要とする機能や事業費の精査を行ってまいります。
西宮商工会議所と連携して開設されるにしのみや起業家支援センターでは、起業前から起業後までの伴走型支援を行い、新たな産業の担い手を創出する拠点としてまいります。
また、市内事業者の育成と市内経済の活性化に向けて、令和3年度に競争入札や少額随意契約に係る要領等の整備を行い、内容の許す限り市内事業者に優先して発注することなどを明文化いたしました。今後市内事業者への優先発注の浸透度合いを確認しながら、市内事業者の受注機会の確保に取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症の影響により、売上高が減少するなどした市内事業者への状況に応じた適切な支援や、離職を余儀なくされた市民の就職活動が円滑に進むよう、求職者に寄り添った就労支援を、引き続き行ってまいります。
Ⅴ 環境・都市基盤、安全・安心
次に、基本計画の第Ⅴ部「環境・都市基盤、安全・安心」についてです。
私は、1年前のこの場で、「2050年ゼロカーボンシティ」を表明いたしました。内外の自然災害はますます激甚化、頻発化し、地球温暖化への危機感が高まっているなか、実効性のある取組が望まれております。
温室効果ガス排出量に占める家庭部門の割合が高い本市の特徴を踏まえ、戸建て住宅のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化など高断熱化に対して補助金を交付するほか、阪神間の各自治体と連携して、市民を対象とした太陽光発電・蓄電池システムの共同購入支援事業を実施いたします。さらに、今後の具体的な取組に向けて、市域の再生可能エネルギーの導入可能性調査や市公共施設における再エネ・省エネ導入調査などを実施いたします。市公共施設のLED化については、令和4年度からの概ね5年間での完了を目指して、計画的に進めてまいります。
ごみの分別排出の徹底及び再資源化を推進するため、令和4年4月より生活系ごみ及び事業系ごみの指定袋制度を開始いたします。また、市役所における率先行動として、庁舎内より排出されるごみの積極的な分別とリサイクルなど適正な処理に取り組んでまいります。
更新時期が近づいている西部総合処理センター破砕選別施設の代替施設となる東部総合処理センター破砕選別施設については、令和8年度の稼働開始を目指して事業者の選定を進めてまいります。また、西部総合処理センター焼却施設の更新に向け、東部総合処理センター焼却施設との集約を念頭に検討を進めてまいります。
白水峡公園墓地で整備を進めている合葬式墓地につきましては、令和5年度の公募開始に向け、令和3年度の施設建設工事に引き続き、周辺造園工事を実施いたします。
水道事業では、今後も給水人口の減少などにより収益が減少していくことが見込まれることから、人件費をはじめとする経費の削減を更に進めてまいります。また、施設の長寿命化や老朽管路の更新を重要度に応じて計画的に行うことで費用の縮減や平準化を図りつつ、近隣水道事業体との広域化・共同化の研究を進めるなど、必要な施策を推進してまいります。
下水道事業では、多発する局地的な豪雨等に対応するため、国が進める国土強靭化の方針に沿って治水安全度を向上させるための雨水浸水対策事業を進めるほか、持続可能な下水道システムを構築するため、管渠や処理場・ポンプ場の地震対策及び改築更新事業を進めてまいります。
市民生活において重要なインフラの一つである道路を安全で快適にしていくため、既存の道路について効率的で迅速な維持管理に努めるとともに、自転車利用環境の改善を始めとした道路改良に取り組むほか、道路整備プログラムに基づき幹線道路の整備を進めてまいります。また、国道176号(名塩道路)の整備についても、早期に全線供用できるよう、引き続き国に対する積極的な要望を続けてまいります。
本市の危機管理の拠点となる危機管理センターが昨年4月に完成し、併せて整備した防災情報システムを6月から運用開始しております。今後はこのシステムを十分に活用し、近い将来、発生が予想されている南海トラフ巨大地震等の大規模災害に備えた防災体制を構築するとともに、市民への防災・災害情報の発信強化を図ってまいります。また、地域に対しては地区防災計画作成の支援を積極的に行うなど、地域防災力の向上に向け、取り組んでまいります。
西宮消防署庁舎は、大規模災害時の消防活動拠点として一層の機能強化を図り、本年2月8日から運用を開始しております。令和4年度は、訓練棟等を完成させ、本市の基幹消防署としてふさわしい施設にしてまいります。また、市立中央病院と県立西宮病院との統合再編に併せ、(仮称)西宮総合医療センター敷地内に消防局と医療機関の連携拠点となる救急ワークステーションの整備を進めてまいります。
Ⅵ 政策推進
最後に、基本計画の第Ⅵ部「政策推進」についてです。
行政経営改革において重要な取組であるシチズンシップの醸成につきましては、令和2年度の市民意識調査及び令和3年度の職員アンケートの結果等を踏まえ、シチズンシップ醸成の観点から、参画と協働に関する検証を進めており、こうした取組を通じて、新たな価値を生み出す市役所改革の実現に向け、参画の更なる取組と市民や企業等多様な主体との協働について推進を図ってまいります。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大が、市民生活や地域社会に変化や影響をもたらし、様々な課題が生じております。これらの課題に対して、市民による自主的かつ自発的な活動を促し、解決につなげていくことを目指し、未来づくりパートナー事業を拡充いたします。
地域団体や住民の学習活動に広く利用されている越木岩公民館の建替えでは、「人生100年時代の人・まちを見据えた交流拠点」として、学びと活動の好循環を実現する仕組みを備えた、誰もが気軽に集える居場所となる施設を目指して取り組んでまいります。
行政経営改革の前期実行計画では78の取組項目を設け、コロナ禍の難しい状況のなか、各局における事業の見直しが進むなど、着実に進捗しております。特に新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、柔軟な人事配置、効果的な情報発信、在宅勤務や時差出勤など職員の多様な働き方が進んだほか、我が国のデジタル化の遅れが顕在化するとともに、取組の重要性が改めて確認され、本市におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)の取組についても加速度的に進めてまいります。
DX推進につきましては、令和2年度末に策定した「西宮市DX推進指針」に沿って、市民サービスの向上と庁内業務の効率化を進めるため、窓口におけるキャッシュレス決済の利用拡大、庁内グループウェアシステムの更新、保育所ICT化の実証に取り組んでまいります。また、電子申請システムの対象手続拡大とそのための環境整備を図るほか、国が取り組む地方公共団体の基幹業務等システムの標準化を着実に進めつつ、本市のDXが目指す、デジタル化、ICTの活用を通じた組織変革の取組を進展させるとともに、こうした変革を担うデジタル人材の育成を進め、行政経営改革の推進を図ってまいります。
広報広聴では、これまでも市公式LINEアカウントを活用した情報発信やパブリックコメントの受付などの取組を進めてまいりました。本年1月からは子育て情報の発信と併せて、属性に合わせた情報を提供するセグメント配信の機能を追加しました。今後は、ニーズに合ったきめ細やかな情報発信を進めるほか、LINEを利用したアンケートの試行運用を開始し、タイムリーな市民ニーズの把握にも努めてまいります。
市民から信頼される市役所となるため、職員の不祥事に対する再発防止については継続して取り組んでおり、今後も職員の意識向上に努めてまいります。
職員の意欲と向上心を高めるとともに、幅広い視野やチャレンジ精神の育成の観点から、国、他自治体との人事交流をこれまで以上に積極的に行ってまいります。また、人事評価制度の適正な運用を行うとともに、職務職責に応じたメリハリのある給与体系を構築します。さらに、ICカードを活用した出退勤管理システムを導入し、より適正な勤怠管理を行うとともに、在宅勤務制度、時差勤務制度の活用など職員の柔軟な働き方を推進し、時間外勤務の縮減につなげます。これらの取組により、働きがいのある市役所づくりを進めてまいります。
公共施設マネジメントでは、現在、「建築系公共施設個別施設計画」の策定を進めているところですが、今後は各施設における個別施設計画を踏まえて、「公共施設等総合管理計画」の見直しを図り、引き続き公共施設等の総合的かつ計画的な管理に取り組んでまいります。
私にとっては、4度目の予算編成となりました。昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染症対策に追われるなかでの予算編成となり、新型コロナウイルス感染症対策や待機児童対策などの喫緊の課題への対応を優先としながらも、環境問題など将来を見据えた施策にも積極的に取り組んでまいりました。これからも西宮市が発展していくために、持続可能な行財政運営を図りつつ、行政だけではなく、市民や企業などの多様な主体が、地域や社会のために積極的に役割を果たしていく、そのような西宮市を目指してまいります。
予 算
次に、令和4年度予算について概要をご説明いたします。
歳出では、新型コロナウイルス感染症への対応に係る予算や、学校施設の改築・改修に係る予算、子育て支援などの社会保障関係経費に係る予算などが増となりました。
一方、歳入においては、根幹となる市税収入について、新型コロナウイルス感染症の影響からの一部回復による増収を見込んでおりますが、臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税については減となっております。また、市債の活用も積極的に進めておりますが、喫緊の行政課題への対応に必要な財源の確保が難しいため、不足する額につきましては、財政・減債基金から繰り入れることとしました。
このように編成いたしました新年度予算は、
一般会計 1,958億2,836万 円 前年度比 1.0%増
特別会計 904億1,085万1千円 前年度比 0.5%減
企業会計 459億8,747万7千円 前年度比 3.6%減
合 計 3,322億2,668万8千円 前年度比 0.1%減
となっております。
以上、新年度の市政に臨む私の決意と施策の大要を申し上げました。
議員各位並びに市民の皆様のご支援をお願い申し上げますとともに、予算案をはじめとする諸議案にご賛同賜りますようお願いいたします。