市長コラム 令和元年(2019年)12月 職員と共に、闊達、活発な組織を目指し、市役所の信頼回復に努めて参ります

早いもので今年ももう師走、令和元年もあと一か月となりました。

昨年来、西宮市において実に多数の不祥事が起きてしまいました。改めて市民の皆さまに心よりお詫び申し上げますと共に、二度とこうした事態が引き起こされぬよう、信頼される市役所へと立て直していくこと、これを私に課せられた使命として、全力で向き合っているところです。これまでに、公共工事の不正行為の再発防止に向けて入札制度の改革を行うとともに、職員の倫理向上に向けた指針の作成や研修の強化などを行ったほか、事務処理の緊急点検や職員への意識調査も実施しており、まさに全庁挙げて不祥事を二度と起こさない取り組みを進めようとしているところです。

これとともに、不祥事事案が頻発して以降は、全職員にこの危機的状況を共有すべく、管理職員はもとより新入職員や新任係長などの各種研修の場などに出向き、公務員として、人として、社会人として当たり前の行動をとるように伝えた後、私が市長就任後の一年半の間に感じたことを踏まえて、次のことを伝えています。

ひとつが、惰性で仕事をするのではなく、自発性を持ち、市民のために仕事をする等、本質的な目的を意識しながら仕事にあたってもらいたい、ということです。
前任者からのやり方を自動的に引き継ぐだけでなく、「こうしたらもっと合理的にできないか」「こうやったらもっと市民のニーズに応えられないか」など、頭をよぎることはきっとあるだろうし、そう思った時に、意志を持って現状を改善していく、のびのびと仕事をしながら、自分も組織も成長していくような、そんな仕事を目標にして欲しいと伝えています。さらに、公務員ならではのやりがいを求め、働くことでの充実感、喜び、達成感をそれぞれ意識しながら仕事をしてもらいたい、ということです。

もうひとつが、職場の風通しを意識してもらいたい、ということです。
誰だって、人に言いにくいこと、苦しい現実を抱えることはあり得るわけで、それこそが人間です。縁あって同じ職場で働くことになった者同士が、人間同士の付き合いを深めることで、お互いを支えあえるのではないかと思います。これまでに不祥事を起こした職員をかばいだてするつもりは決してありませんが、一方で、そこに至るまで、その心の闇、悩みを誰かと共有できたのならば、一線を越えずに済んだ事案もあったかもしれません。そう考えると、自分自身もそうだし、自分の部下、同僚に対して、おせっかいであること、これを私は「あたたかい職場」と呼びますが、そんな市役所を目指していきたいと考えています。そうした空気感を意識することで、働きやすい、不祥事とは無縁の西宮市役所を作っていきたいと思っています。

そして、研修の場などでは最後に、私が尊敬するリーダーの言葉を引用し、締めくくるようにしています。それは、かつて内閣官房長官を務められた後藤田正晴さんの言葉です。後藤田さんが官房長官に就任された際に残したのが「五戒」であり、それに私の思いを加えて(ここではカッコ内の内容)伝えています。

1.省益を忘れ、国益を想え(課や局の利益でなく、西宮市全体を考えよ、と読み替え、仕事をして欲しい)

2.嫌な事実、悪い報告をせよ(良いニュースに触れたら嬉しいし、悪いニュースを聞いて喜ぶことはないが、悪い知らせほど先に共有しておくべきものと、肝に銘じて欲しい)

3.勇気を以って意見具申せよ(こんな事を言ったらバカにされるんじゃないか、生意気に思われるんではないか等考えずに、前向きに、自分の感覚を率直に口にして欲しい)

4.自分の仕事に非ずというなかれ、自分の仕事であるといって争え(役所の性としてどうしても組織は縦割化するが、市民のため、また市役所全体の合理的な仕事の進め方のためにも、このことを意識して欲しい)

5.決定が下ったら従い、命令は直ちに実行せよ(決まるまでは闊達に議論してほしいが、組織である以上、決定には従うべし)

私としては、こうした厳しい状況にあるからこそ、活発、闊達な組織を目指すこと、それをすべての職員が意識することが大切との思いで、職員に向き合っています。そして、全力で西宮市役所の信頼回復に向け力を尽くして参ります。今後とも叱咤激励のほど、よろしくお願い申し上げます。

西宮市長   石井登志郎

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