現在、地球温暖化による環境問題の深刻化が進んでおり、CO2の削減とエネルギーの効率的な活用に向けた取り組みが強く求められています。こうした中で西宮市としては、エネルギーの効率的な回収と行政経営改革の観点から、これまでの方針を見直し、現行二施設のごみ焼却施設を、令和14年から一施設に集約することと致しました。
現在、西宮市では、西部総合処理センター(西宮浜)と東部総合処理センター(鳴尾浜)の二施設体制で市全域から収集運搬されたごみを焼却処理しております。西部総合処理施設は平成9年より稼働し、老朽化しているため建て替える必要性が出ておりました。これまでの計画では、西部単独で建て替えることとしておりましたが、国の方針として焼却施設の集約化の検討を求められていることもあり、再検討した結果、一か所に統合することと致しました。
統合により、発電効率の向上によるエネルギー回収の増加と、施設数減少による運営コストの低減によって、新施設稼働後来年度以降の28年間の間に、市の財政負担額約50億円の削減メリットが見込まれることとなります。これには、熱回収による発電効率が約2.5%向上することで回収できる電力量(石油や石炭を燃料としないCO2排出量が少ない電力)が増えることによる売電収入の増加と、施設運営が集約化されることによって効率化されるメリットが含まれています。整備する施設が大規模となることで整備費用が高額となるデメリットもありますが、それを上回るメリットが見いだせることから、見直しをする方向で計画を進めることと致しました。
この施設整備費用は、400~500億円の巨費が必要とされる見込みです。国の補助等もございますが、この規模が小さくなればなるほど、この整備費用は小さくなります。現在は一日529トンの処理能力を持った施設と考えていますが、これが1トン小さくなると約1億円、施設整備費が小さくなると言われています。令和14年からの稼働を目指す集約された新施設の規模を最終的に決めるのは、令和6年頃と見込まれております。つまり、これから先数年の市民の皆様、また事業者の皆様の日々のごみの減量化の取り組みが、今後の施設整備費用をどれだけ抑えられるかにつながるとも言えます。
市といたしましては、こうした状況も踏まえ、市民、事業者の皆様にごみの減量化、再資源化の取り組み、新施設整備のコスト削減にもご協力頂きたいと考えております。本年6月の市長コラムでもお知らせいたしましたが、本市では令和4年4月から指定袋制度の導入を決定し、現在、市民の皆さんへの周知を進めているところです。こうした施策には、市民の皆さんのご理解、ご協力は不可欠です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
2003年に他都市に先駆け「環境学習都市宣言」を行った西宮市。この中でも象徴的なEWC(Earth Watching Club)の取り組みは学校現場をはじめとして根付いており、環境省からも高評価をいただいてまいりました。この環境学習都市が、学習に留まらずさらに進化し、環境施策を積極果敢に実践するまちとして、市民の皆さんと共に前進して参りたいと思います!