市長コラム 2022年(令和4年)3月
ローマは一日にしてならず

 「ローマは一日にしてならず」は誰しもが知る諺ですね。ここでパリでもロンドンでもなくローマであったのは、ローマの繁栄が人類史上、特筆すべきものであったことから来ているのかと思います。
西宮市政においても、「ローマは一日にしてならず」という諺が示す教訓は、とても大切だと思います。

 ところで、ローマが繁栄した要因は何か、様々な要素があるのでしょうが私が一度、ローマに行った際に現地の方に聞いたことで興味深かったのは「地政学的な理由」でした。イタリア半島は地中海に長靴が突き出しているような形で、弁慶の泣き所あたり(?)に位置するのがローマです。今のように飛行機も自動車もない時代において海運の存在感は相当なもので、また温暖なイタリア半島のオリーブなどの産品があったこともこの繁栄を支えたのだと思われます。もちろん、そうした地政学的な優位性に加えて、ローマ帝国の優れたガバナンスがありました。地政学的優位と優れたガバナンス、「ローマは一日にしてならず」は、とても奥深い諺だと改めて思うものです。

 西宮市は、1963年に文教住宅都市宣言をして今の穏やかで住みやすいまちづくりが評価され、住みたいまちランキングでも数多くトップとなっています。これは昨日、今日に作り上げられたものではありません。ローマで言及した地政学的な優位性、これは西宮にも当てはまります。海や山に恵まれ、六甲の山々を織りなす地層によって作られた宮水によって栄えた西宮は、近代にはいると鉄道が縦横に走り、大都市である大阪や神戸にすぐにアクセスできることもあり、住宅地として発展してきました。そこには、単なるベッドタウンとしてではなく、平穏で良質な住環境と、芸術・音楽・スポーツといった市民文化意識の高さ、そして、地域は自分たちで作っていこうと思う、そうした市民の皆さんが、今の西宮市を作っているのだと思います。

 「文教住宅都市・西宮」は一日でなるものではありません。これまでの積み重ねを十分に踏まえながら、さらなるバージョンアップのために必要な改革を行う、しっかりとした市政のガバナンスがあってこそ、「西宮は一日にしてならず」と言えるすばらしいまちづくりができると考えています。市民の皆さんと共に、引き続き全力で西宮市のさらなる発展に向け、頑張って参ります。

東山台から、名塩の山々を臨む

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