昨今、ヤングケアラーに対する社会の関心が高まっています。ヤングケアラーとは、本来大人が担うべき家事や家族の世話、介護等を行う子どもたちのことで、こうしたヤングケアラーの問題自体は、以前から存在してはおりましたが、特に近年、地域のつながりの衰退、少子化や核家族化の進展、共働き世帯の増加、介護の担い手不足等から、そうしたケアを担わざるを得ない子どもが増加してきたと考えられます。
私自身ももっとこの分野を勉強したいと思っておりましたが、先日8月4日に、市教育委員会と市要保護児童対策協議会の研修会が行われました。講師は、ご自身も元ヤングケアラーであり、現在は各地でスクールソーシャルワーカーとして活動される黒光さおりさんで、「沈黙のヤングケアラー ~その笑顔の内側に~」と題してご講演いただきました。
研修タイトルの「沈黙のヤングケアラー」という言葉通り、ヤングケアラーの実態は可視化されづらく、実は身近にいるにも関わらず、ヤングケアラーとして把握されにくいと考えられます。こうした潜在的なヤングケアラーの早期発見や支援には、学校や行政と共に、地域社会も一体となって取り組むことが不可欠です。ただ単に家族の世話をして大変、というだけでなく、ヤングケアラーとして過ごしたことが、自己肯定感や意欲の減退を招き、その先の人生にまで影響が見込まれると聞かされ、こうした認識の共有については、もっと広げていかねばならないと改めて感じました。
すべての子どもたちの健やかな育ちは、西宮市にとってとても重要な目標です。ヤングケアラーへの支援は、大人の論理や押し付けの親切心ではなく、ヤングケアラーとして日々過ごす子どもたちに寄り添いながらしていくことが大切です。西宮市には、子どもたちの健やかな育ちを願い、こども食堂を運営したり、日々の見守りをしてくださっている市民の方がたくさんおられます。こうした市民の皆様の力を借りながら、ヤングケアラーとして日々頑張っている子どもたちの支援がより行き届くような西宮市を目指して行きたいと思います。
令和3年8月6日
西宮市長 石井登志郎
黒光さおりさんの講演の冒頭に一言ご挨拶